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「ここはいいからお茶でも運んでくれるかなー?」
「そーそー!ほらハルヒ渡してやれって」
ハルヒが持っていたティーセットを嗣郎に渡したその瞬間こりゃ無理だと即落とした。当然割れる食器達。
「ハルヒマイナス10万」
「ハァ!?」
「これでふけばいいよ」
と嗣郎が持ってきたのは特注の新作カーテン。まだ下ろしていなかった新品だ。それはいくらクリーニングしても使えないだろう。鏡夜の冷たい声が静かに響く。
「…特注の新作カーテン布地に何か?」
「わ――!なんなんだおまえはー!!」
流石の環も嗣郎のしでかす事に耐え切れなくなったが、嗣郎も良いトコ育ちでプライドの高いおぼっちゃんらしく簡単に謝る事はしない。
「シーロちゃんっ一緒にケーキ食べるー?あのねえチョコのと苺のがあってねえ」
場を紛らわせようとした光邦にも嗣郎は爆弾を落とした。
「ジャマ。おまえ何年?なんで高等部の制服きてんの」
そうなれば崇が黙っているはずがない。190以上ある崇が無言で目の前に来れば嗣郎は涙ながらに近くにあったティーセットを投げる程の恐怖心を抱く。そしてとうとう嗣郎は隔離された。出せと声をあげる嗣郎。
「子供のお遊びに付き合う程こっちも暇じゃ…」
と言うわりに環は優雅にお茶を飲んでいるが。
「僕は本気だ!時間ないんだよ、教えろよ!女喜ばす方法!あんた天才なんだろ、キング!」
その言葉を聞けば環はあっさりと嗣郎を牢から出した。そして決めセリフの如く嗣郎にやんちゃ系の極意を教える。その光景をぼんやりと見ていた竜胆は電卓を苛立ち込めて叩く鏡夜に近付いた。
「鏡夜。子供のした事にそんなに怒るんじゃないわよ」
「俺がそんなに小さい器量だと?」
いやいや、現にあなた怒ってるじゃないか。竜胆は肩を少し上げてこちらも困ったものだと呟く。
「本当に皆弟みたいだわ。目が離せない」
「誰が弟だ。そんなこと言うのはこの口か?」
鏡夜は竜胆の頬を軽く抓った。
「ありゃ、そうやって返すひょころが子供みたいなのにょ」
願い下げだ、鏡夜は拗ねた様に竜胆に背を向けた。そして竜胆はその背に手を伸ばす。
「何拗ねてるのよ、きょぉーやぁー」
「重い、乗るな」
「ま、レディに向かって失礼ねっ」
「本物のレディはそうやって男の背に乗らないだろ」
「目から鱗が…!」
ふふふと竜胆は小さく笑った。何が楽しいんだか、そう思うも眉間に皺を寄せない鏡夜。
終
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