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「…この状態が続くようなら兄弟愛設定も変えざるを得ないが…指名率ダウンは確実だな。ペナルティはおいおい考えるとして…何も責任を感じる必要はないんだよ?たとえ元凶が心ないお前の一言だったとしてもね…?」
そう言う鏡夜の視線はハルヒへと向いていた。笑顔の圧。まぎれもない殺意だった。
「ヒカちゃんとカオちゃんがケンカなんて初めてだよねえ――」
光邦の言葉に崇も大きく頷いた。
「そうなんですか?」
「僕、幼等部の時から知ってるもん。しゃべったコトないけど、いっつも二人だけで遊んでたしねえ。あ、でもたまにぼたちゃんは一緒だったかも〜」
「ぼたちゃん?」
「牡丹の事。牡丹は幼等部から桜蘭だったから。でも、あの子は末っ子じゃないのに末っ子気質で更に一匹狼タイプだったからなぁ」
詳しくは知らないが光と馨を心配して一緒にいる、という事は牡丹に限ってないだろう。
「俺は中等部からしか知らないけど、かえって浮いてたよな。自分達以外誰も寄せつけないって感じで。そう考えりゃ喧嘩なんていい傾向なのかもな。少しは“世界”が広がってきてるって事じゃないの?この際ほっとくのが一番…」
環が踏み出した瞬間、どこからか槍が飛んでくる。その近くには光と馨の姿。喧嘩未だ進行中。それに巻き込まれた環は制裁だと二人を追いかけた。ハルヒは何か思いついた様に小走りで環が消えた方向へと進んだ。それに遅れて残りのメンバーも歩き出す。
「りんちゃん、お顔がにやけてるよぉ〜」
「はい。自分はずっと光と馨と一緒に居たわけじゃないけれど、この状況は少しばかり嬉しい」
「…嬉しい?」
崇の言葉に竜胆は笑顔で頷いた。
「だって光と馨を心配してくれる人がこんなにも居て、環なんか二人の世界の心配までしてくれている。私は彼らの親戚としてとても嬉しい!」
「ふふ、りんちゃんはとっても優しいね〜☆」
そんなことはないです。私は光と馨が好きなだけなんですよ。可愛くて放っておけないから、竜胆は微笑んだ。そしてようやく光と馨、環とハルヒの姿を見つけるも言い争いはまだ終わらない。
「おまえに間違われんのもうんざりだし、ホントはおまえなんて大嫌いなんだよ!」
「そんなのこっちのセリフだよ…っ!」
その言葉を聞いて竜胆は足を一歩踏み出したが、次の馨のセリフで止まってしまった。
「猫澤先輩から入手した呪い人形だ!」
一体何を持ち出しているんだか。呪い人形に名前を書けば人形が受けた同じ苦しみを味わうだなんて。
「ちょっと…いい加減に…」
竜胆よりもハルヒが先に光と馨に近付いた。
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