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部室と言われる第三音楽室のソファの上でぶすっとしたままで居るのは光と馨。先日環から言い渡された接客禁止は未だ進行中。竜胆はそんな二人を横目で見て微笑んだ。

「あら、光君と馨君は接客しないの?」

「そうなのよ〜!自業自得ね。あの二人は引き際も分からなければ詰めも甘いのよ?」

その言葉を理解出来ない女性達は首を傾げるだけだった。そんな時ハルヒの心無い一言がきっかけでホスト部に再び問題が起こる。そのきっかけは女性の素朴な疑問からだった。

「ねえねえハルヒ君。右わけが光君で左わけが馨君なのはわかるんだけどー他にわかりやすいポイントってないかしら?」

「そうですね…強いて言えば…光の言動の方が一割増し性格悪そうですよ?」

その言葉に悪意はないが、馨は小さく吹き出した。

「…言っておくけど僕は包み隠さないだけで底意地悪いのは馨の方だけどね」

「…適当言わないでよ。光の我儘につきあってんのは僕だろ」

「言いだしっぺは僕でも掘り下げんの馨じゃん。イヤなら止めろよバカかお前」

「あまりに光がアホで見てられないからだろ。大体おもちゃとかいいつつさあ…光、ホントはハルヒの事が好きなんじゃないの〜?」

小学生の様な言い合いが始まってしまった。

「ハァ!?」

「何!?」

環、面倒になるからそこに入ってしまうな、そんな竜胆の言葉は届かない。

「何でそーなんだよ、やっぱバカだな」

「そうだぞ馨、世の中には言っていい事といけない事が」

「大体なんであんな豆ダヌキみたいな」

「豆ダヌキとはなんだ!!」

ほらほら、ここで環が相手にしちゃうからどんどん事が大きくなっちゃうんだぞ、竜胆はそう思いながらも紅茶を口に入れた。

「ハルヒくんをめぐっての美しくも切ない四角関係!?しかも内二人は双子という泥沼展開!れんげごはん三杯はいけますわ!」

「「オタクはひっこめ」」

久々のれんげの登場も双子の手によって軽く流される。

「いい加減にしろよ、僕よか数学弱いくせに!このチビ!」

「光はもっと語学系勉強した方がいいかもね!このデブ!」

外見は同じなのだが…。この状況に部員は集まる。

「人の布団にいつも入ってきやがって!いーメーワク!」

「光が寂しそうだから仕方なく添い寝してやって」

「馨の歯軋りが」

あぁ、もううるさい。知られざる双子の日常にきゃあきゃあと声をあげる女性達もいかがなものだが…。竜胆は思わず耳を塞ぎたくなった。そして光と馨の言葉の閉めは、

「「絶交だッ!!」」

双子の暇は機嫌の悪さに繋がり、結果として絶交宣言。それに危機感を覚える面々を他所に竜胆は小さく笑っている。

「双子のお姉さんは何やら楽しそうだな」

「あら、私光と馨の姉ではなくてよ?まぁ、姉の様な、と言うのなら否定しないけれどね」

「…で、この状況を姉の様な牡丹の君はどうお考えで?」

「ふふ、楽しい事になりそうねぇ」

「腹黒いな」

「鏡夜に言われるのは心外だわ」




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