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「竜胆先輩は夢、ありますか?」

「…あるわよ。だから私も桜蘭に来たのよ。この格好をしているのもその一歩なの」

どうしてそうなったのだろうか。それにしても桜蘭に来たのは自分と同じ理由だったのか。ここに通う人は皆お金持ちで当然自分の家に見合っているから通っているもんだと思っていたからこそハルヒは驚いた。

「竜胆先輩はいつから桜蘭へ?」

「中等部三年に上がる一月前くらい」

随分と中途半端な時に来たものだ。そう思ったけれどハルヒはそれを口にするのを止めた。これ以上首を突っ込んじゃいけない話かと思ったのだ。

「…ねぇ、ハルヒちゃんはホスト部好き?」

「そうですね…」

ハルヒは突然の質問に頭を悩ませた。好き?面倒?なんて答えようか首を傾げた時ハルヒは人影を見つける。

「あのう…入ってます」

ハルヒの言葉にも突然入ってきた白衣の男に竜胆は呆然としたまま固まっていたが我に返り立ち上がる。

「あなた、鳳家の医者ではないですね…?」

「違!騒がないでくれ、私はただ娘を――…」

「うさちゃんキ――ック!」

どこからか可愛い声が聞こえてきたと思えば、光邦の蹴りが白衣の男に直撃した。その男は遠くまで飛ばされる勢いだ。そして現れる仲間達。

「ひとつ人目を集める美貌」

「ふたつ不敵の大富豪」

「みっつ醜い庶民の悪を」

「見捨てておけぬ紳士道。おてんと様が許してもこの桜吹雪が許さない」

環が突然服を脱いだと思えばそこには桜の文様。また時代劇にはまっているのだろう、竜胆は笑いを零す。

「我等桜蘭ホスト部、只今見参!!」

「命ばかりはお助けを――!」

何故そこにのってしまうの!?白衣の男性は…!ノリが良すぎるだろうと取り残されたハルヒと竜胆は驚くばかり。そして白衣の男性は身の上を話し始めた。

「私は…隣町で小さな内科を営む野武と申します…」

かわいそうだけれどその苗字はあまりお医者様には向かないだろう。

「経営ベタな私に愛想をつかし先月、妻と出て行った娘にひと目会いたいと…」

その後通り雨に当たり、道に迷って、偶然桜蘭の身体測定時に来てしまい医者に間違われた憐れな結末だった。


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