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「竜胆先輩。…スペインに来てから…じゃないな。カルメンさんに会ってからずっと鏡夜先輩の事避けてますよね…?」
「おぉ、鋭い」
荷物を整理しながら竜胆は微笑んだ。
「ど、どうしてですか!?やっぱりヤキモチ――」
「そんなに心の狭い女じゃないわよー!ただね、鏡夜の色んな表情を見たくなるのよね」
「色んな表情?」
「…鏡夜ってあんまり感情を表情に出さないでしょう?それでも最近は見せてくれるんだけど、私は私だけに見せてくれる鏡夜の感情をもう少し見せて欲しいの」
竜胆の言葉にハルヒは首を傾げた。
「だから!今はあえて避けてるのよ!鏡夜がどんな反応するのか楽しみだわぁ!カルメンさんには悪いけれど、少し妬いてるって事にしてるの☆そうしたら鏡夜がなんて言ってくるかなぁと思って☆」
その笑みを見てハルヒは若干竜胆から退いた。やっぱりこの人はかなり腹黒いんじゃないか…!?そう思った。
「…環はすぐに表情に感情が出るし、よく気が付くからこちらも驚いたりするでしょう?鏡夜はあぁ見えて言葉や文字以外の情報源には鈍い所があるのよ?特に自分が言われた事とかね。知ってた?それに深読みし過ぎるくせもあるし!」
竜胆は笑いながら声を出した。そしてすぐに真面目な顔になる。
「――…だからもしかしたら、どうして鏡夜のお父様がカルメンさんの相手に鏡夜を呼んだのかを、まだ気付いていないかもしれないわね。私からは何も言ってあげないから、きっかけがあったらハルヒちゃんが遠回しに教えてあげてネ☆」
じゃあ、シャワーお先!と竜胆は先にシャワールームへ向かっていった。そこでハルヒは感嘆の息を漏らす。本当に竜胆先輩は凄い。周りの人の事をちゃんと理解した上で自分がどういう風に動けば良いのかを的確に判断している。…自分の為もあったけれど。それでもやっぱり格好良いと思うハルヒだった。
終
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