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「言われてみりゃドン・キホーテって殿っぽいよな」

「ああ、妄想の世界で生きてる感じとかネ」

「何を言う!」

自由な精神の持ち主で…なんてドン・キホーテを熱く語りだした環は皆の冷たいツッコミで充分だ。そんな彼らを見て鏡夜は小さく溜め息を吐いた。

「まったく騒々しい…いくら連休とはいえなんで全員ついてくるんだ…」

「「勝手に着いて来たみたいな言い方心外〜元はといえば鏡夜先輩の説明不足じゃん!」

「俺は何度も説明しようとしたが?」

「まるで自分がお見合いさせられるみたいな言い方してさーそりゃ竜胆ねぇの手前見逃せないって思うじゃんか」

「会わせたい女性っていうのは秋人さんのお見合い相手よ〜、じゃなきゃ私も着いて来ないわ」

むしろ落ち込んでいるでしょうね、今頃。

「どおりでりんちゃんも怒らないはずだよ〜〜」

それにどうして鏡夜が呼ばれたのか。マドリードの大学に留学中のその相手。少し前から見合いの話は出ていて、今回鏡夜の父が学会でバルセロナに来る事になり、良い機会だからと顔合わせをする事になったのだが、秋人の方が大学の都合で2日程遅れるとの事。その間の相手に命じられたのが鏡夜だったのだ。

「荘司ゼネラルといえば日本でも指折りの石油会社ですよね」

「ああ…先代から一代で築き上げた会社でね。家柄的にはたいした事はないんだが、総資産はなかなかのものだよ。だから失礼のないよう相手役を…というのはわからなくないんだが…」

「鏡夜。美人だったとしても浮気は駄目よ?」

「…何を考えてるんだ、バカ」

「彼女に向かってバカは酷いってさっきも言ったじゃない」

すぐそういう言葉で隠しちゃうんだから。




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