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「スペインといえば国全体が世界遺産の宝庫なんだ!」
「ちなみにここバルセロナはピカソやダリ美術館と見所はいっぱいだけど」
「僕らのおススメはやっぱ数々のモデル二スモ建築!」
へぇ、そうなんだ。テンションの高い光馨を他所に竜胆は芸術も学びたいとは思うが、やはり目的は甘い物。光邦とチュロスの話になってしまう。
「ホットチョコにチュロス着けて食べるの美味しいですよねぇ〜☆」
「うん!名店もいっぱいあるしねえ〜☆」
「「スペインで唯一産業革命を経験したこの土地に花開いたカタルーニャ版アールヌーボー!まさに“南のパリ”!」」
「スペイン…それは情熱の国」
「栄華と抑圧の歴史を知る光と影の国…歴史的名作“カルメン”の舞台でもありかの“ドン・キホーテ”を生んだ偉大なる国…!」
「「ビバ!スペイン!」」
恥ずかしげもなく感動を全身で表している皆を他所に残されたハルヒと鏡夜の二人は少し離れる事にした。観光客や地元の方々がブラボーなんて写真を撮っているが、さすがにそれに入る気は起きない。
「おい、バカ共。気は済んだのか?」
「まっ、彼女の向かってバカは酷いわ、バカは」
「彼氏に向かってバカは許されるのか、お前の中で」
本当にあぁ言えばこう言う……竜胆は眉間に皺を寄せた。
「あっ鏡夜先輩!鏡夜先輩!僕らサン・パウ病院見たいんだけど、今って工事中で立ち入り禁止なんだってー!」
「「大病院の息子のコネで見学許可とってきてよ☆」」
「寝言は寝て言ってくれるかな?」
どうも皆で旅行しに来た気分で楽しい。本当は鏡夜と二人だけの旅も良かったかもしれないが、それは後日でも、いつでも良い事だと竜胆は皆の楽しそうな笑顔に微笑んだ。
「俺はドン・キホーテが旅した道をたどってみたいぞ!ラ・マンチャから馬に乗ってスペイン中を冒険するのだ…!」
そんなキラキラしてまた大きな夢を抱いているものだ。何年かかるか知らないが。
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