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20XX/8/11 10:28
Dear柊牡丹
Sub 近況報告
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ハロー牡丹!私はなんと今ボストンに来ています。両親はその言葉に契約破棄するのかと聞いてきましたが、私は“高校三年間をバレずに男装して過ごす”という条件を飲んだはずと言ったら簡単に書類にサインしてくれました。そして今は学業と柚葉ちゃんの所でモデルとして日々精進しております。素人なので(言いたくないけど)、いっぱい失敗して怒られて、かなりへこむ毎日です。でも、そういう言い訳はもうしない事にしてとりあえずがむしゃらに頑張っています。充実した毎日は私を夢に近づけてくれている気がします。

「竜胆?またメールか?」

「ええ。牡丹に近況報告よ」

私も恋人が出来たのよ。知っていると思うけれど鏡夜の事。だって、貴方は知っていたのでしょう?貴方が日本に来た時も鏡夜が居たし、それに最初から鏡夜に私の事をお願いしていたんだものね。どうして分かったのかしら?やっぱり双子だから?不思議ね。牡丹の事も教えて頂戴。でも聞かなくてもなんとなく分かる気もするけれど。また連絡するわ。

「よくもまぁ、そんなに書く事があるな」

「何でも話せる仲と言うのは良い事よ」

20XX/8/11 13:35
From柊牡丹
Sub Re:近況報告
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俺も彼女が出来た。“も”と言う事は知ってたんだね、やっぱり
俺も頑張ってる。竜胆も頑張って。応援してる


「…それにしても牡丹のメールは短すぎてつまらないわ」

「メールはいいだろ。早く行くぞ」

「ねぇ、鏡夜。もしかしてヤキモチ?私がパソコンに向かってたから」

「うるさい。それくらいしてもいいだろう、別に」

「誰も悪いとは言っていないわよ?」

私は鏡夜の隣を歩く。たまに鏡夜がニヤニヤするなって私の顔を退けようとするのよ?彼女の顔をよ?ひどいわ。それでもいいんだけれどね。だって、そういう鏡夜もまたかわいらしくて素敵なのだから。そう言うと鏡夜は怒るから言わないけど。竜胆は窓の外から空を見上げた。

「今日も良い天気ねぇ」

「そうだな」

「空を行く鳥を遮る雨が降りませんように」

「何だ、それは」

「忘れたけど思い出した言葉。ちゃんと帰れます様にって」

「意味が分からないな」

夢を追いかける中で私が笑って鏡夜も笑って、皆が自分らしさを持ったまま居られれば私も更に嬉しくて笑みが零れる。それは作った笑みではなく心からの笑み。私自身、想像もつかないくらい綺麗な笑みだと、顔を少しばかり赤くしたとある情報筋から聞きました。

「さ、早く皆の所へ行きましょう!」

「あぁ」

これから私達はまだまだ乗り越えなければならない壁が出てくるでしょう。そんな時はまず皆に相談してみるわ。知恵を絞り出して方法を考えるの。そんな壁を登りきった時に見る景色はとても素晴らしい。そして空は意外にも近くにある事を知るのよ。




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