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「…竜胆。俺はお前が好きだよ」

竜胆の手を引き、鏡夜は物陰に隠れた。そして真剣な目をして言うのだ。

「お前の気持ちが聞きたい」

知っているくせに…。竜胆は小さく呟いた。それでも聞きたいと鏡夜は小さな笑みを浮かべる。その顔が好きで、やっぱりどう頑張ってもその気持ちだけは隠せない。だって、鏡夜が私を見ていてくれるんだもの。そんな目で見られたら嘘はつけない。

「…私もっ…鏡夜が好きよ…っ」

鏡夜は竜胆を抱きしめた。

「…付き合ってくれ」

分かってる。あれの続きはそこに繋がっている事くらい。竜胆は唇を噛み締めながら鏡夜の服を掴んだ。

「……条件があるわっ…」

「…条件?」

「…いえ、お願いねっ…」

それは大きなわがまま。

「…私がっ…女である事を全力で内密にする事っ…私が鏡夜の事を好きだって、それを卒業まで隠し通す事っ…それが飲めるのなら付き合ってあげても良いわっ…」

「お安い御用だよ、お嬢さん」

鏡夜は竜胆の唇を奪った。竜胆はそれでも涙を零す。だって、もう無理だったのよ、どんなに危険を冒しても欲しかったの。それが鏡夜の本音なのだとようやく気付けたから。夢に向かうのに少し不利になるかもしれない。それでも、もう無理。だってこんなにも、こんなにもいとおしくて仕方ない。私は私の幸せを願いたい――…だから、

「…鏡夜を愛してる私を許してっ――…」

「誰も許さなくても俺だけは許すよ。竜胆が俺を愛してくれるなら」




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