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屋内に居てもテラスに出て行ったハルヒと環の声が聞こえてきた。
「えええええ!?」
「ハルヒもようやく気付いたかな」
「ほんっとありえないよねー」
「あれで“皆知ってると思ってた”っつーんだからさー」
「“俺がハルヒを一人で行かせるわけないだろう?”とか言っちゃってねー」
環が先日皆に言った言葉だった。ハルヒの留学に対しての環の言葉。
「昨日きょーちゃんが話を振ってくれなかったら僕らも気付かないままだったよねぇ〜」
「ああ」
「…まぁ、奴の考えそうな事ですからね」
「「…ま、おかげで急遽大忙しなんだけどね僕らも☆」」
うんうんと皆は大きく頷いた。そして光と馨はビシッと視線を竜胆と鏡夜に向けたのだ。
「な、何…?」
「「僕らとしてはー二人も気になるんだけど?」」
「そうだねえ〜いい加減にはっきりさせて欲しいなあ〜」
「…流石に」
モリ先輩まで!?竜胆は崇の言葉に驚いた。そして気を利かせて竜胆と鏡夜は二人きり。今更そんな事を言われても一体どうすれば良いのか。いや、言おうとは思ってた。竜胆は気まずそうに鏡夜から目を逸らす。
「…竜胆」
「…はぁい」
「…何だ、その気の抜けた返事は。俺が今から一大告白をしようとしているのにも関わらず」
「…鏡夜の決意ね、うん」
分かっているのだけれど。そもそも気持ちは分かっている。だからこそ、“今?”なのだ。気持ちを伝えて牡丹に戻れる程自分は感情を押し殺すのが得意ではないはず。竜胆は頭の中でそれを繰り返す。
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