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「「…わかったよ」」

「それから環先輩、鏡夜先輩。お願いがあるんです。自分の視野が広がったのはホスト部の皆と出会ったからだけじゃなく、クラスの皆や部のお客さん達のおかげでもあるから――だから嘘をついたまま桜蘭を離れたくはないんです。皆に――…本当の事を打ち明けてはいけませんか…?」

竜胆はハルヒの言葉に顔を伏せた。夢の為に私は色んな人を騙しているのだと。いつかそれを謝る時が来るのだろうか。

「…はい、もしもし〜柚葉ちゃん、どうしたの〜?…え?冬の冊子で?…ちょっと待って。いいの…?……あぁ――…うん、分かった…はい、はい…」

竜胆は電話が切れた後でも呆然としたままその場を動かない。

「竜胆?どうかしたか?」

「……柚葉ちゃんの…冬の店内限定で置く冊子……モデル、私に決まったって…イメージにピッタリだからって、ちゃんと正当な評価で決まったって……ど、どうしよう…これから最終確認と…打ち合わせ…」

その言葉に鏡夜は軽く微笑んで竜胆の頭を撫でた。

「良かったな、竜胆。また進んだな」

竜胆はその言葉を聞いて涙を堪えるように唇を噛み締めた。前回代打で出た冊子はかなり好評だった。だからこそ専属のオーディションの誘いはあった。だけれど、オーディションは受けられなかった。今度こそ、今なら次のオーディションに声がかかれば、そう思っていたが。まさか決まるなんて思ってもみなかった。

「…鏡夜……どうしよう」

「どうした、夢だったんだろう?」

「……えぇ。だからこそ感動して声が出ないのよ。まぁ、私はハルヒちゃんの様にはいかないけれどね」

嘘をついたまま桜蘭を離れたくない、そう言ったハルヒの言葉は竜胆の胸を締め付ける。ごめんなさい、私は教えてあげられない。口には出来ない。でも、気付いてもらえたら嬉しい。ヒントは必ずそこら中に落ちているのだから。




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