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「あの、お兄さん一人ですか〜?良かったら私達と」

「ちょっとこの人女の人だよ〜!すいませんでした〜!」

竜胆は声をかけられて、すぐに女だとバレてしまった事に驚いた。すぐにバレたのはハルヒだけ。

「…そろそろ限界なのかなぁ」

竜胆はポツリと呟いた。

「わりかし良い感じだねえ〜とりこし苦労だったかな?僕らももう帰った方がいいかもしれないねえ〜」

「順調だとそれはそれで退屈だけどね」

「タコ焼きにワサビでも仕込んでやればよかったよネー」

「光、馨。貴方達自分本位過ぎだから」

さっきまであんなに協力してあげますよ、雰囲気だったくせに順調だとむしろ邪魔をしたくなるのか…。

「けどハルちゃんてば…元々かわいかったけど、もうホントにすっかり女の子の顔だねえ〜」

「私もそう思ってました」

「ハニー先輩、竜胆。実はその事でちょっと…」

鏡夜の言葉を遮って光と馨の周りの空気が一瞬にして変わった。思わず環とハルヒの方向を見ればハルヒの持つたこ焼きをあーんしてもらいたいと言う環。いちゃいちゃとした会話をするハルヒと環。そんな空気をぶち壊す環への衝撃。草履が環の額に当たったのだ。

「こらっ!ヒカちゃん、カオちゃん!」

「イヤー間一髪だったな」

「危うくハルヒがキレて帰っちゃう所だったよね!」

草履は光と馨が投げたのだ。今の所は邪魔する所ではないはずなのだが。

「…清々しい程身勝手だな、おまえ達は…」

「そうよ、もう帰り――…」

「寝起きの鏡夜の恐ろしさといったら…」

一体何の話だか分からないが聞こえた環の声。それに対してマスコットキャラのぶたさん達は環を攻撃していた。

「御苦労」

ぶたさんの中は鏡夜のSP達だった。

「鏡夜!もう!貴方まで身勝手過ぎよっ!」

「知らん。環が人の悪口を言うから悪い」

「何鏡夜まで子供みたいな事言ってるのよ、もう。少しは環を優しく見守ってあげましょうよ?ね?」

竜胆の言葉に鏡夜はそっぽを向いた。これはきっと肯定の合図だろう。竜胆は小さく微笑んだ。何でかいとおしいの、この人が。子供みたいな所もとてもかわいく思えるのよ。好きからきっともっと愛してる。私の中の感情はとうとう変化してしまった。いや、だいぶ前から進化していたのよ。




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