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「「あぶなかった…」」
「あやうく一瞬でフラれてしまう所だった…」
「僕らの替えの服が役に立って良かったよ…」
「さすがタマちゃん、期待を裏切らなさすぎるね…」
「おまえ達…ムカついていたんじゃなかったのか…?」
むかついたとしても応援してしまうのはどうしてだろうか、それは分からない。そして環は次に一般入り口ではなく特別ゲートへと向かって行った。そこには大きなパネルとそれを囲む従業員達。
「ようこそいらっしゃいませ、須王様、藤岡様」
従業員総出で祝初デートと大々的にお出迎えされているではないか。驚いたのは何もハルヒだけではない。パレードの様にその中心を歩き出す環とハルヒ。ハルヒは既に恥ずかしさでいっぱいらしい。ハルヒが帰りたいと言い出す前にこちらは従業員を撤収させるのであった。それにどっと疲れてしまった。
「…だから何がしたいんだ、おまえ達は」
「駄目だ…心の片隅でちょっとだけデート失敗しろとか思った事は認める…認めるけど…」
――あのバカほっとくと本気で今日中にフラれる…!僕らがなんとかしてやらないと
「…何でこんな感情が芽生えたのか…」
「無事デートが成功してほしいような、いつまでもバカな殿でいてほしいような…なんだろうこの胸が締め付けられるような気持ち…」
「恋かねぇ〜」
「…いや違う光邦…これは…」
――いわば我が子の“はじめてのおつかい”を見守る親の心境…!
「…おまえ達そんなくだらん事に頭を使う暇があるなら他に考えるべき問題が…」
その言葉を言いかけて鏡夜は言葉を止めた。それに竜胆は顔を上げた。
「鏡夜?どうかした?」
「いや…ちょっと目を疑う顔ぶれがいたような…」
「目を疑う顔ぶれ?」
一体誰なのだから。これ以上問題は起きてほしくないものだ。確かにテレビ的には感動シーン盛りだくさんかもしれないが、本人達的にはつらいもの間違いなし。やはり、親の心境だった。だが、それからと言うもの意外に普通のデートをしている様だった。
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