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「母がハルヒ君を須王に関わらせるにはふさわしくないと排除したがるのは目に見えていたからね。最終的には高坂弁護士がハルヒ君の父親への情から歯止めになってくれると思った」

高坂弁護士も駒の一つ。道具の一つでしかなかった。

「私は環を本人の実力で本邸に上げてやりたかった。そして環は充分な結果を出した。それでも意地で認めようとしない母には外部からの働きかけが必要だった。母の失脚によって本邸に入れても環の今までの苦労は報われないだろう?的確な判断を会長につきつけるだけの冷静さを持ち、更に藤岡家の味方にもなりうる高坂君は最適な人材だったんだよ」

「…それじゃ高坂さんは最初から全部理事長の手の上で…」

「…部に厳しい処分を下した事は申し訳ないと思っている。鏡夜君が色々と調べている事は知っていたからね。ヘタに騒がれて会長に知られては不都合があったんだ。いつでも再開してくれて構わないよ。校長には連絡しておこう」

そんな事を願っているわけではない。私達が何の為に来ているのか、この人は全く分かっていない。竜胆は鏡夜の手を放して自分の手をきつく握った。

「「な…ふざけんなよ、そっちの勝手な都合で…」」

光と馨を再び鏡夜は再び制し、喋り続ける。

「…あなたが息子思いの父親という事はわかっているつもりです。新薬開発にしても元々はアンヌさんを助けたい一心からでしょう。でもあなたは肝心の環の気持ちを読み違えた。そして俺が一番許せないのはあなたが母親への復讐の為に環を利用したという事です」

その言葉に理事長は反応した。そして鏡夜の声は大きくなっていく。

「母親であるアンヌさんと引き離し会長の言うがままフランスから呼び寄せ、環が会長に冷たく当たられても放置し黙って新薬の完成を待った。全てはギリギリまで従順な息子を演じ、一番残酷な形で会長を失脚させたかったからだ。あなたは高坂弁護士だけでなく、環をも自分の手駒にしたんです…!どれだけ会長に冷たくされても、あいつが耐えていたのは何故だかわかりますか、あなたの母親であり家族だからだ!」

譲氏がどう思っているのかなんか関係ない。環にとって祖母もちゃんと家族だった。守りたい大事な家族の一人。だからこそここまで頑張ってきていたというのに。

「寂しい思いをさせ、環にあそこまで家族への憧れを抱かせたのはあなたなのに…!」

「きょーちゃ…」

「…くそっ…馬鹿にするな…!」

「鏡夜!落ち着きなさい!」




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