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「…環。これから私とケンカしましょうか」
「「はぁ?」」
竜胆の言葉に環と鏡夜は素っ頓狂な声を出した。
「…だってこのまま行ったらホスト部の活動休止は環とハルヒちゃんの仲違いって事になるわ。ハルヒちゃんは奨学生で未だ見下そうとする人間もいる。いつかの様に嫉妬や怒りの目がハルヒちゃんに向かないとも考えられない。ハルヒちゃんはこれ以上危険な目に合わせられないわ。だったらまだ三年の私の方が傷も攻撃も少ないと思わない?」
竜胆の言葉に環も鏡夜も少しばかり驚いた。
「本当なら鏡夜と環が仲違いした方が信憑性はあるけれど、私だって環とは部設立前の付き合いよ?ハルヒちゃんとケンカして部が解散した、よりも私の方が絶対に好都合よ」
竜胆はそう言うとニッと微笑んだ。
「それにハルヒちゃんよりは世渡り上手だろうし〜環の心配事も少しは減るんじゃないかしらね?」
「…竜胆…!」
「うわっ!?」
環に急に抱きつかれた事で竜胆は驚いたが、すぐに環の背に手を回した。
「…大丈夫よ。貴方は貴方が思う事を存分にやってちょうだい。私達だって好き勝手にやってるわ」
「…竜胆、ごめんな」
「こういう時はごめんじゃないわよ」
「…あぁ、ありがとう」
きっとその笑顔を見るのはだいぶ先になってしまうのでしょうね。でも、それでもこれが解決した時一番綺麗な笑顔を見せてくれると信じているわ。
「そろそろ放してくれる?ほら、鏡夜がやきもち妬いちゃうから」
「はいはい、そういう事にしてればいいさ」
「え?え?お前等、実はそんな関係――…」
「じゃあね!環!またね」
そして私も彼から離れた。少し寂しいけれど平気。これが自分に出来る事だと思っているから。皆を守る為になると思っているから。
終
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