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「それじゃーね」
馨は手を振って僕の方でも調べてみるよと帰って行った。
「で?竜胆は帰る気がないと」
「あら、失礼ね。帰って欲しいの?」
「…勝手にすればいい」
じゃあ、まだ帰らない〜!竜胆は笑いながら鏡夜の隣を歩いた。
「鏡夜ってきっと誰よりもホスト部の事が好きなのね」
ハイハイ、だなんて。また誤魔化すんだから。そんな姿も可愛いと思う私は重症なのかしら?竜胆は携帯を取りに行った鏡夜の背を見送ってソファに座り込んだ。スコーンを食べようと手を伸ばしたその時、鏡夜が荒々しい音を立てて階段を下りてくる。
「どうかし――…」
「行くぞ!」
「えぇ!?どうしたのよ!?」
鏡夜は竜胆の手を引いて外まで出て行った。車を走らせて行く先は須王第二邸。
「…どういう事?」
訳も分からず連れてこられた竜胆にはさっぱりだった。わざわざ急がせて須王第二邸に行く意味は?
「…環が本邸に入れる事になったらしい」
「…え?」
「今から挨拶に行くと言っていた。折り返し電話をかけたが繋がらなかった」
竜胆はその言葉に呆然とした。
「…おかしいじゃない。何で今更…?何かの前兆を私達は見逃していた…?環が譲氏の仕事を見学し始めたから…?」
考えれば考える程出てきてしまうそれ。車を降りて二人は走った。
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