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「秋人兄さん、今日の講義は午後からなのか…」

「僕あの人苦手。さっきも竜胆ねぇと客間に居たんだけど、捕まりかけてさあ。あの人弟に対する牽制ハンパないよね」

「馨。兄さんの悪口はやめろ」

そう言えば今日は目覚めが良いのね。竜胆はぼんやりと思った。鏡夜はロフトの階段をゆっくり下って行く。それに着いていく竜胆と馨。

「高校時代部活もせずに勉強してたからな、秋人兄さんは。俺が呑気に見えて苛立たしいんだよ」

「でも鏡夜先輩は部活しててもちゃんと首席キープしてるじゃん!」

「だからこそ牽制したくなるんじゃないの?」

鏡夜は自室のクローゼットに手を伸ばした。

「兄さん達はもっと先に行ってるからな。俺が大学を出て兄さんと同じ土俵に立つまでは何も言う権利はないよ」

「そんな事…!」

「まあ要するに、その時こそこっちの出番って事だ」

そういう鏡夜は悪い顔をしている。が、やっぱりどこか嬉しそう。

「…おお〜!なんかかっちょい――☆ていうか殿の影響っぽい…」

それを言うと鏡夜は照れるから。ね?言ったでしょう?鏡夜の両手は馨の米神へ。ぐりぐりされている。

「それで?約束もないに勝手に人の部屋まで上がり込んで何の用かな?この無礼な後輩は」

「いででででで!ごめんなさい、ごめんなさい!で、でも竜胆ねぇだって!」

「それもそうだな。人の着替えを目も逸らさずに見ている痴女さん?」

「痴女ってねぇ鏡夜!あなたそれは失礼過ぎるわよ!今更鏡夜の裸見た所でなんとも思わないってばァ――!」

竜胆は鏡夜に向けて下まぶたを下げ、舌を出した。それから大きく息を吸い込んだ。真剣な顔つきになって言う。

「私と馨の二人が来た理由、分かってるでしょう?」

「そうだよ!この前の話の続きをしに来たの!なんで高坂弁護士は理事長に内緒で会長と会ってるわけ?理事長の黒い疑惑って何?高坂さんがハルヒのパパさんだかママさんだかと知り合いって事理事長は知ってんの?」

「馨、一気に喋り過ぎ。鏡夜、私アセロラジュースがいいな」

はいはい、と鏡夜は小さな溜め息を吐き、軽食を用意してもらいソファに座り込んだ。

「…ハルヒの両親との関係は理事長が把握しているかわからないが、まず高坂が会長の指示で環の素行と交遊関係を調査している話はしたな?」

「うん…でもさあ、よく考えたら素行調査なんて弁護士の仕事じゃなくない?危ない橋渡ってまでわざわざそんな仕事…」

「するさ。高坂の目的は金だからな」

「お金ねぇ。よっぽど困った事情でも?それともかんきょ――っ!ゴホッ」

竜胆はプチケーキを食べてからアセロラを飲んだ事を後悔した。酸っぱくて仕方ない。

「…鏡夜。その飲みかけのコーヒーでいいから頂戴。一口、一口でいいから」

知るか。そう言われて竜胆は渋々馨のコーヒーに手を伸ばした。


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