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「まずいぞ、目覚める前に手を打たねば…光!馨!」

「「はッ」」

「おまえらん家の自家用セスナを出せ!」

「何、アホな事を…はい、鏡夜」

超特急で淹れてきたコーヒーを鏡夜に渡してから竜胆も目の前の椅子に座りコーヒーを飲み始める。

「恐山に飛んでイタコをお連れしろ!ハニー先輩のグランマに出て頂いて新たなうさちゃんを作ってもらうのだ!」

「そんな時間ないよ、バカじゃない」

「錯乱しててもいいからもっと建設的な事言ってよ」

その光景を見て竜胆は小さな笑みを零す。

「ねぇ、鏡夜。皆バカみたいな事言ってる」

「そうだな」

「ではこうしよう!うさちゃんをクリーニングに出す間ハルヒ!このうさちゃんに入れ」

環はどこからか兎の着ぐるみを持ち出してきた。何で持っているのか、それはきっと環の私物ボックスに入っていたに違いない。

「「ナイスアイディア!」」

結局の所、環も光馨もハルヒをいじって遊びたい、可愛がりたいに繋がっているのか、竜胆はそう思った。

「わあー!いやだあー!竜胆先輩、なんとかして下さいよー!」

ハルヒにとって竜胆は環に物も言えて、光馨にも屈しない人間。だからこそ竜胆に助けを求めるが、それはいつも軽くかわされる。

「ねぇ、鏡夜。英国では今何の話題で――ん?ハルヒちゃん、何か言った?」

「……い、いえ…」

「ハルヒ!大丈夫だ!寝ぼけた目では少しぐらいのサイズの差などわかるものか!」

「なら先輩が入って下さいよ!」

「俺が入ってもカワイクないだろう!」

年がら年中騒がしいホスト部。落ち着いた一日を過ごせる日の方が少ない。それでも皆が集まってくるのはこの場に不思議な魅力があるから。

「いかん、間に合わん!仕方ない身代わり作戦第二弾だ!」

光邦は目を覚まし枕元にあった目の据わったクマのぬいぐるみを見てそれをすぐに床に叩き付けた。

「「わー!!クマちゃんがー!」」

そして寝ぼけたまま光邦はびしょ濡れのうさちゃんを見つけ抱き上げて冷たい声と表情を浮かべる。

「…僕のうさちゃん…誰が汚したの…?」

それを横目で見てしまった竜胆は思わずカップを落としそうになった。

「モリ先輩!モリ先輩!助けてえ――!」

崇に助けを求め、崇はすっと立ち上がり真面目な顔をして言うのだ。

「…うさちゃんがどうしてもお茶を飲みたいと…」

その言葉のチョイスに一同固まるが光邦は笑顔を取り戻した。

「そっかあ〜!だからお顔がいっぱい汚れちゃったんだねぇー」

寝起きの光邦は怖いがそれを丸め込む崇はもっと怖い。そう学んだ下級生達だった。

「ハニー先輩寝起きのケーキはいかがですか?本日はガトーショコラですよー」

「わーい!りんちゃん一緒に食べよう〜!」

そして竜胆のポジションも実はかなり上位なのではないかと思った下級生達。




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