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「僕はね、りんちゃんと初めて会った時にすごく感動したんだよ。お兄ちゃんの為に男装までしてくる決意って本当にすごいなって思った。無茶な要求も真摯に受け止めて…それでいて夢に真っ直ぐ向かって行ってて、女の子なのにすごいなぁって。この子は努力してるんだなあと思った。そう思ったら僕は自分が恥ずかしくなった」

光邦の語尾は少し弱弱しくなっていた。竜胆は思わず顔をあげると光邦は竜胆の目の前に居た。

「僕もずっと素直になりたかったから。だからね、りんちゃんに憧れていたのかもしれないなあ」

「…そんな事」

真っ直ぐなんて言える程じゃない。いつも牡丹と自分の間で揺れていたんだから。これからどうやって行こうは悩んでいた時。男らしい行動って何だろうって私は好きな物を我慢していたんだから。

「だからね、僕は竜胆ちゃんが大好き。格好良くて優しくて僕と趣味が合って、ちゃんと周りに目が行く子で、夢に向かって頑張ってて、可愛くて、僕の背中を押してくれて〜僕を受け入れてくれて〜えっとそれからそれから〜」

光邦は小さく小首を傾げていた。なんとも愛らしいその姿が逆に竜胆の胸を締め付けた。

「ち、違いますよっ!…私はっ、そんな風に行ってもらう資格なんて無いんですよっ…」

受け入れてくれたのは貴方の方でした。私が進んでも良い道を教えてくれたのは貴方です。

「りんちゃん…?」

「私こそっ!私の方がハニー先輩に救われていたんですよっ?だって、ハニー先輩みたいに甘い物が大好きで、可愛い物も大好きで、そんな男の子が居たって何の不思議もないんだって思わせてくれたから…!」

性格は無理して変える必要がない事を教えてくれた。

「…ハニー先輩が居なかったら、きっと甘い物好きで可愛い物好きでおしゃれとか化粧とか好きだって言える私はいなかった…!」

だから私の方こそ言わせて下さい。竜胆は目に涙を浮かべながら呟いた。

「…ハニー先輩、ありがとうございますっ…私、貴方に出会えて良かった…っ!ハニー先輩でよかったっ…」

「…うん、ありがとう、りんちゃん。僕、その言葉が一番嬉しいや」

光邦は切なそうに微笑んだ後、しゃがみこんでいる竜胆の額に唇を寄せた。

「ハニー、先輩?」

「…これくらいは許してね?もうしないから。そしてこれからもよろしくねぇ☆また一緒にケーキいっぱい食べようねぇ〜☆」

「…は、はい!」




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