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なんとか落ち着きを取り戻した時(と言っても環一人でバースデーソングしかも一人エコー付きを歌っているが)図書館に行っていたハルヒがようやく第三音楽室にやってきた。
「あのう…どなたかのお誕生日でしたっけ?」
そう言うハルヒの顔と声はとても冷たかった。呆れている様に思える。
「ハルちゃん☆」
「やっと来たか。ミーティングを始めるぞ」
「ハァ…でもあそこの小動物のような大きい人は…」
環はハルヒが入ってきた途端柱の陰に入り、モジモジとしていた。それは照れなのだろう。
「あー気にしないでヨ。長いシリアスモードの反動でとち狂ってるだけだから」
「狂い過ぎだけれどね」
竜胆はとりあえず自分の名前が書かれた席についた。早くケーキが食べたくて仕方ないのだ。
「ハルちゃんのお席はこっち〜☆」
「どうもすみませ……何コレ。いやがらせ?」
ハルヒは案内され席札を見て呆気に取られていた。何故なら訂正線がいっぱいで、ほとんど黒い。
「違っ!とりあえず別姓って事になって!」
「は?」
「だから!俺達がけっ…」
「けっ?」
――言えない!そうして環は再び柱の陰に隠れた。
「ハルちゃんが来たからもうケーキ食べてよいよね〜☆」
光邦がケーキを取り分けると陰に隠れていた環は瞬時に出て来た。
「待て!苺は全部ハルヒの!」
「え〜僕もイチゴ〜」
「だめです!ぜーんぶハルヒにあげるのっ!」
何を思ったのか、ケーキの上にあった苺は全てハルヒのケーキの上に。それは非常に見栄えが悪い。食べる気も起こらない。
「…環、あなたいい加減にしなさいよ、もう」
そのケーキはハニー先輩が食べるから良いだろうけれども先ほどの環の行動はアホか、と思わず言いたくなる程だ。
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