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《板前芸人っていう…包丁さばきを活かした新ジャンルを…》
それを聞いて竜胆は声を出して笑った。電話からはまた別の笑い声が響いていた。
《《板前芸人なんじゃそら!》》
「未知ジャンル過ぎるわ…!」
《ケーキも切れるかなあ〜》
《なるほど…確かにそれはお母君に同情するな…》
《…男気》
久しぶりのホスト部電話会議。でも、なによりも嬉しかったのは鹿谷の本音と環が本気で笑う声。
《おっ…おまえら!?》
《《あー予想外すぎて笑った――!サイコ――☆》》
「流石にこれは想像出来なかったわっ!」
《お題をクリアしたならさっさとゴールしろ》
《タマちゃんの笑い声久々に聞いたらおなかへったねえ〜》
《カレー…》
そう、本当はトラウマなんて関係無かったのよ。履き違えていただけ。ただ大切で、失うことを恐怖する程に大切な仲間達がいるだけ。
《《そーだヨ、早くカレー作れ〜》》
《タマちゃん、甘口ね甘口☆》
《…辛口》
「私はグリーンカレーがいいわ」
《というか走れ、おまえ達実はビリに近いぞ》
《ああもう!うるさいうるさい!同時に喋るな!》
環の怒鳴り声も久々に聞いたわ。やっぱりこれがなきゃだめなのよ。だからこそ皆面白がって話すんじゃない。でも気付いたのね、ようやくよ。長かったわね。でも、環も成長していた、皆と同じ様に世界を壊しては広げて繋がりに気付くのね。竜胆は笑いながら携帯を閉じた。
終
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