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第5ポイントの鏡夜で環は鹿谷から本音を引き出す企画だと鏡夜に確認をとった。そして環が選ぶ材料だけではなく、鹿谷が自ら選ぶ様に。そして今日のイベントの隠しテーマ。それは日頃の感謝を込めて。わずか二年間だったが、この部で過ごした歴史を振り返って欲しいと。そして環は第6ポイントであるハルヒのもとへ急いだ。そこにあったのは真実の口。4つの問にひとつでも嘘をつけばゴールへと進めない。これが最後の賭けの様な物だ。一同は各自電話を繋ぎ、それに聞き入っていた。

《では代表して鹿谷さん、どうぞ。お名前は鹿谷愛さんですか?》

《はい》

3つ目の質問までは至って普通の質問。そして最後の質問。

《お父さんと離れ離れになった事に不満も後悔もありませんか?》

その質問に対して環の声が聞こえた。それを遮り嘘をついた鹿谷の手は真実の口に飲み込まれた。

《ハルヒ!もういいだろ、止めろ!》

《イヤです!》

《ハルヒ!》

《いやです!だって環先輩も嘘つきじゃないですか…!》

電話から聞こえてきたのはハルヒの本音。

《…今度からはちゃんと話すって言ったじゃないですか》

それなのに環はまた一人で悩んでいる。自分が黙っていれば皆に迷惑かけずに済むからと。

《本心を言えば皆が引くとでも?だとしたらそんなの今更です。環先輩のいい所も駄目な所も皆とっくに知ってます》

これは環にとって有利なイベントだった。それでも、そんな事を知っていてもこれをやると決めた最大の理由は全てハルヒちゃんが言ってくれる様だと竜胆は微笑んだ。

《身勝手で泣き虫で唐突で人を振り回してばかりで、そんなの皆知ってます。どうしてわからないんですか。――…それでもそれでも一緒にいたいから皆ここにいるんじゃないですか…!》

気付いて。貴方の良い所も悪い所も全て含めた上で私達は須王環と一緒にいるの。それって深い理由なんてないのよ。好きだから、一緒に居たいから。ただそれだけ。

《お父様助けて!私神戸に帰りたい…!》

突然聞こえてきた鹿谷の声。それは鹿谷の本音だった。神戸に帰りたいけれど言えなかった。新しい事業は父の昔ながらの夢。だけれど母は家風を守る立場。どちらも苦しんでいるからこそ言えない。

《だから本当はお笑いの道に進みたいっていうお父様の背中を押してあげたいって…!》

それを聞いて竜胆は固まった。何も固まったのは竜胆だけではないはず。


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