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「今度光と馨の家に遊びに行こうかしら。ね、久しぶりに三人で何か面白いいたずらしましょうよ」

「「子供みたい」」

「あら、光と馨だけじゃなくて私もまだまだ子供だよ?」

竜胆がそう言ってすぐの事、どこからか大きな音が響いた。

「何だろ、セットが倒れたかな?」

慌ててそちらに行けばD組の人達二人が環に追いやられている場。すぐにD組の二人は逃げて行ったが、ハルヒが泣いているのが分かった。一体何が?そう聞く前に環はハルヒに近寄った。

「ハルヒ…」

「い…痛……コンタクト…ずれ…」

どうやらただのコンタクトがずれただけで、それが原因でハルヒは泣いていて、原因も分からずに環はD組の二人に殴りかかったという事だろうか。

「カメラ!押さえまして!?今の流れ!最後のコンタクト以外!これよ!まさに理想的ですわ!あとはラストに鏡夜様の感動的な…」

鏡夜が無言でカメラのレンズを破壊した音が辺りに響いた。

「申し訳ないが、部員の暴力行為を記録に残す訳にはいかないんでね。こういう迷惑のかけられ方は非常に不愉快だ」

鏡夜の怒りの言葉にれんげは涙を零す。

「なんでえ?鏡夜様なら“気にしなくていいよ”って…優しく頭をなでてくれて…鏡夜様なら」

「や、でも、そんなの鏡夜じゃないし」

ごめんね、そんな鏡夜を見られるのは親友にならないと無理なのかもしれない。竜胆は心の中で謝った。鏡夜が実は誰よりも優しい事を知っている。だけど、それをそう簡単には見せない事も。内に秘めているのだ、いつも。通常ならば心配はするけれど優しい言葉よりも背を押す言葉を彼は選ぶだろう、彼は実は照れ屋だから。

「そうだね、れんげちゃんの言葉は鏡夜の優しさとはちょっと違う」

「まーいいけどね、割と面白かったし」

「ねー☆」

「好きになる理由なんて人それぞれだけどさ」

「ちゃんと“人”を見て、少しづつ知っていくのも楽しいと思うよ?」

部員達の言葉にれんげは謝り涙を零した。この時は気付かなかった。環の暴力シーンだけを抜いたあの映像が売りに出されている事を。それは全て鏡夜の策略。どこから考えていたのかは鏡夜本人しか分からないだろう。そして帰国するかと思ったれんげはハルヒが自分の身を挺してかばってくれた優しさと、時に厳しく諭したハルヒに恋をしたのはすぐに判明する事だった。

「鏡夜」

「俺に害がなければどうでもいいさ」

なんとも素直じゃない彼は見ていて結構面白い。竜胆は鏡夜のパソコンの隣に淹れてきたコーヒーを置いて彼が座るソファーの隣に深く座り込んだ。

「私は鏡夜の優しさ、ちゃんと知ってるよ」

「……は?」

「私みたいに鏡夜の親友クラスになると鏡夜は恥も外聞も無く何でもしてくれるよね」

「…何を言ってるんだか。自分で親友とか恥ずかしくないのか?」

「恥ずかしくないよ、失礼ね。ま、私だけが知ってる…あ、環も知っているけどそれは置いておいて。女子では私しか知らないなんて優越感極まりないね」

竜胆は隣の鏡夜の肩に自分の頭を乗せた。それに対して鏡夜が何か言う事はない。鼻で笑う行動一つだ。




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