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ミシェル姫が来た時よりも話題になっている環の行動。環の隣には常に鹿谷の姿があった。絵になる二人、家柄的にも申し分ない。そんな二人が常に一緒に行動していればお嬢様達の悲しい声が色んな所から響き渡る。鏡夜が第三音楽室へ来ればぶっす〜と仏頂面が並んでいた。

「オヤ。環とハルヒは?」

そこに鏡夜が現れ、部員の少なさに驚いた。

「「ハルヒは図書館寄るって!殿は知らない!」」

「…なにをぶーたれてるんだ。おまえ達は…」

そこに竜胆の姿もあった。だが光邦同様お菓子を食べる手は休めない。

「噂の事なら仕方がないだろう。ああして世話をやく事で怪我をさせた罪の意識が緩和されるというなら環も断れないだろう」

「「分かってるよ!わかってるけど!でも殿がせっかくダジャレとはいえトラウマを意識し始めてんのかもっていう大事な時にさー!」」

「ねーねー!脳内ハルちゃん似だからってタマちゃんの気持ち変わっちゃったりしないよねぇ〜?」

「…そうそう。私皆に言わなきゃいけない事あった。鏡夜どうぞ」

説明するのも面倒だと言う様に竜胆は手のひらを鏡夜に向けた。

「…彼女が転校してきたのは両親の不仲が原因らしいんです」

「正確には父親と母親の実家よ」

「彼女の父親が新しい事業を計画していてね。それに母方の親戚が猛反対なんだそうだ。“計画を進めるつもりなら離婚させる”“娘である愛嬢にも会わせない――…”彼女は今父親との接触を一切絶たれた状況らしい。どうだ。誰かと境遇がかぶるだろう」

それを聞いてしまえば皆は焦るしかない。

「そ…それ殿は知ってんの?」

「さあな。もう聞いたかもしれないし、これから彼女が話すのかもしれない。まあ要するに鹿谷愛嬢は環にとって理想に申し分ない女性であり。しかも互いに理解し合える存在かもしれないという事だな」

この話を環が聞いていたとは知らずに。

「で?竜胆は何をぶぅたれているんだ」

「…あ、今日初めて鏡夜に竜胆と呼ばれた」

竜胆は小さく笑った。

「環と鹿谷さんはいつも一緒で、鏡夜は何やら忙しそうで、たまにゆっくりしてると思えば環も一緒で結果鹿谷さんも。あーあーやだやだ」

ストレスが溜まっちゃうわ。竜胆はチョコを手に取り勢いよく口に含んだ。

「…なんとかしてあげないと。鹿谷さんは環に依存しちゃってるよねぇ」

「…そうだな」

「このままじゃ鹿谷さんの為にならないし、環の為にも。お節介かもしれないけれど、何かしてあげたい」

使えない部長の代わりに何かしてあげちゃう?竜胆は鏡夜に向かって微笑んだ。そんな竜胆の笑みに鏡夜の手が伸びて口元を親指で拭った。

「チョコついてた。小学生か、お前は」

「あら、チャームポイントの間違いよ」

さて、これから何を考えようか。まず大体の企画案を挙げてそれが上手く行ったら皆にも協力してもらおうかしら。


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