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「「…イヤー…あのー殿は…“夕焼けに染まる波うち際を白いワンピース着た君とお散歩☆”が理想とかいう…」」

そう痛いの。現代人の夢というよりは世代が少し前の妄想という感じで。

「まあ白いワンピースはよく着てます」

「…殿と公衆の面前で手をとり合ってくるくるしたり」

「須王さんがお望みなら」

「やたらと新婚さん妄想したがったり」

「夢のある方なんですね☆」

「「休日にはだるまさんがころんだと庶民スーパー巡り!」」

「須王さんがそうされたいなら勿論。全部とっても楽しそう☆1日24時間あっても足りませんね☆」

――脳内ハルヒ!?殿の脳内妄想が今ここに実現―…!?今光と馨が話したのは環の脳内ハルヒで散々妄想していたが何一つとして叶う事のなかった妄想の固まり。この状況はとても危険でこれから一体どうなるのか、竜胆は小さく溜め息を吐いて自分のランチを食べようとすると顔を伏せたハルヒが目に入った。

「ハルヒちゃん?どうかした?」

「え?…い、いえ」

「どうもしてないって顔、してないわよ?…やっぱり寂しい?」

「えっ!?」

大袈裟に反応するそれはまさに肯定。こちらも恋する女の子なのだ。竜胆は優しく微笑んだ。環がハルヒちゃんを好きなのはあきらか。環がハルヒちゃんの容姿だけを好きになったと思う?だけれど、ハルヒはそれを知らない。だから私からは言えない。

「…私も寂しいわ」

「どうしてですか?」

「…だって、今日“竜胆”と呼ばれたのはさっきの光と馨が初めて。分かっている事だけれど、やっぱり寂しいじゃない」

「竜胆、先輩」

「はい」

「…竜胆先輩、いつでも言って下さい。自分が何度でも呼びますから」

以前鏡夜に優しすぎて悲しくなると言われた事がある。多分その時の鏡夜はこういう気持ちだったのだろう。自分の悩みよりも他人の悩みを優先しているから。私はただ話を逸らそうとしただけなのに、ハルヒちゃんがあまりにも優しいから。竜胆はハルヒの頭に手を伸ばした。

「…貴女は貴女のままで居て。私は応援する」




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