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そして鏡夜はパッと竜胆から離れた。
「「竜胆ねぇ!牡丹にぃは!?」」
突然開いた扉からは少し怒った様な光と馨。
「帰ったわよ」
「あぁ!もう牡丹にぃの事一発殴ってやろーと思ったのに」
「光。落ち着きなよ」
「殴る?そんな事したら私が怒るわよ」
どうしてそうなったのか分からないけれど、ありがとうね、光。私の為に怒ってくれて。自分の事でも一杯一杯だろうに。
「竜胆ねぇ…。ごめん、僕竜胆ねぇと牡丹にぃの事、皆に話しちゃった…」
「馨、いいのよ。もうヒミツは無しにしましょう」
ずっと約束守っていてくれたのね、ありがとう馨。そんな事で悩まなくていいのよ。
「りんちゃ〜ん!僕ね、りんちゃんに手刀当ててねっ…ずっと目を覚まさなくてっ…」
「…心配した」
「手刀?よく分かりませんが、大丈夫ですよ。今はもう目が覚めてますし、心配をかけてしまってすいません」
ハニー先輩。そんな涙目で謝らないで下さい。こっちまで涙が出てきてしまうから。モリ先輩。そんなに優しく頭を撫でないで下さい。泣いてしまいそうだから。
「…竜胆先輩、もう大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ。ありがとうハルヒちゃん」
ハルヒちゃんも自分の事で一杯一杯だろうし、光から告白されて更に悩んでいるだろうに、本当に彼女も自分の事よりも他人の事が心配なのね。
「…竜胆!俺は本気で心配したぞ…!俺には劣るがお前の綺麗な顔に傷がついて血の気が引いた」
「…環。こっち来なさい」
環を呼んで竜胆は両手で環の頬を抓った。
「にゃにするんだ…!」
「誰が誰に劣るですって?認めないわよ、同じ様に腫れて湿布すれば良いんだわ」
心配かけてごめんね、環。あなたも今色んな事で悩んでいる時期だと言うのに。
「まぁ、今回の面倒ごとは部の方で挽回してもらおうか」
「勿論よ、任せておいて鏡夜」
竜胆は目に涙を溜めて今の状況、友人達、この仲間達に本気の感謝の意を込めた言葉を準備する。大きく深呼吸して精一杯の笑顔を見せる。
「…皆、心配をかけてしまってごめんなさい。柊竜胆、見事復活致しました!…皆、本当に大好きよ」
終
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