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「…そっか。俺の勘は間違っていなかった。君に助けを求めて正解だった」

「…一方的な約束だったな、あれは」

中学二年の冬の事の話。

「ね?だから言ったでしょう?少しは俺にも感謝してね」

そう言われると腹が立つが。

「鏡夜君もだいぶ変わったね」

「…牡丹もな」

俺はまた一つ大事な繋がりが出来たのかもしれない。

「時間やばいな。そろそろ行かないと公演に間に合わない。光に謝っておいて。ついでに鏡夜君に殴られたって事にして欲しい」

「するか。お前を助ける必要はない」

「えぇ。俺が殴られたって聞いたら竜胆きっと悲しむよ?」

“えぇ”って竜胆がよく言ってたな。困った質問をされるとそう言う。似ていると思うが、牡丹の言うそれに特別な感情は抱かない。

「じゃあ、鏡夜君に竜胆の秘密、教えてあげる。竜胆のメールに一番よく出てるのは鏡夜君だよ」

「…は?」

「言葉通り。いいよ、竜胆を貰っても。あげる」

そんな物の様な言い方をすると竜胆が怒る事を知らないのか?俺は得意気に呟いて笑みを浮かべてしまった。

「残念だったな。俺は与えられる物には興味無い。欲しい物は自分の手で奪うタイプでね?」

「…ふぅん、そうなんだ。じゃあね、鏡夜君」

「あぁ、元気で」

あの日、牡丹とこんな話が出来るとは思ってもみなかった。牡丹は最後に竜胆の頭を優しく撫でて足早に部屋から出て行った。そして俺は竜胆が眠るベッドへ腰を下ろした。

「…おはよう、竜胆」




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