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皆は寝る間も惜しんで竜胆に付きっ切りだった。だが、竜胆が目を覚ます事はないのだ。気絶させられてからもう充分な時間が経っているというのに。

「…ハニー先輩が竜胆ねぇを気絶させたんだよね…」

「手刀でまさか…」

「えぇっ!?ぼくぅ!?」

彼女に自分達が出来る事は少ないのかもしれない。だけれど、桜蘭に来れて良かったと思うくらいなのだから、普段通り過ごしてやろう。笑い合っていれば皆楽しそう、と目を覚ますかもしれないと。皆はそう思った。小さな笑い声が竜胆の部屋に響き渡る。そんな時ノブががちゃがちゃと音を立てて乱暴に扉が開いた。

「竜胆…!」

そこに居たのは額に汗を浮かべる牡丹の姿。しかも右手には自分で点滴を持っているではないか。

「「牡丹にぃ!」」

「光、連絡くれてありがと」

「い、いやいいけどさ…僕今牡丹にぃに結構むかついてんだよね」

「…後で殴られるからさ、竜胆の容態は?」

「…昨日気絶させてから目ぇ覚まさないんだよ」

牡丹は眠り続ける竜胆のベッドに近寄った。そして何をするのかと思えば牡丹は竜胆頭を一発思い切り叩いた。

「「「ハァ!?」」」

「ちょ、ちょっと何してんの!?」

その行動には一同呆然とする。まさか精神的に参ってしまった妹の頭を叩くなんて。

「起きろ、バカ竜胆!」

牡丹の大声に反応した様に竜胆は目を覚ました。それにも一同驚愕を隠せない。それだけで良かったの!?あんなに騒いでても起きなかったのに!?

「…今、叩いた…?」

竜胆の声を聞いてホッとした後、環は皆部屋から出て行く様に合図したが、それを牡丹は止めた。

「鏡夜君、君には聞いてもらいたい事があるんだ」

皆が出て行った後、鏡夜は首を傾げそうになったが、そのまま近くソファに座り込んだ。牡丹は竜胆のベッドに腰を下ろす。


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