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「「竜胆ねぇは!?」」

「光、馨。今は気絶している。が、目を覚ましてまた先ほどの状況になると考えられる」

「それよりも説明してくれないか?馨。何か知ってるんだろう?」

その言葉に馨は顔を伏せた。これはきっと自分が言っても良い事じゃない。

「…ごめん、僕からは言えない。けれど、牡丹にぃが関わってる事は確か」

「あぁ。先ほど電話が繋がっていたのは柊牡丹の使用人からだった」

「で?その使用人はなんと…?」

「…柊牡丹が倒れたそうだ」

それが理由で?確かに兄弟が倒れたら心配になるのは当然だったが、あの取り乱し具合は大袈裟過ぎる。

「…やっぱり。牡丹にぃの携帯に連絡してもつかなかったから、家に電話しちゃったもん」

「それで?牡丹君は?」

分からない。けれど一大事だって怒鳴ったと光は首を横に振った。そうなればやはり視線は馨に向いてしまう。馨は気まずそうに目を逸らした後小さく呟いた。

「……竜胆ねぇさ、昔体悪くて、移植手術を受けたんだって…。その時の臓器提供者っていうのが牡丹にぃなんだよ」

馨の言葉に皆は驚いたが、どこかで納得する部分もあった。どうして竜胆が牡丹のフリをしてまで桜蘭に来たのか。ただ兄の夢の為、というには度が過ぎていた行動。恩返しのつもりだったのか。誰かが居なくなりそうになる悲しみは、自分から見た牡丹の事。それを聞いてしまえば納得する部分がそれぞれにあった。

「…だから、あそこまで牡丹君を…」

「女の子がわざわざお兄ちゃんの為だけに来る程の理由はこれだったんだね…」

「…だからこそ竜胆ねぇは牡丹にぃを一番に考えてる。牡丹にぃの心配している。倒れたって聞いて真っ先に自分のせいだと思っちゃうくらいさ」

「でもさ!そんなのおかしいじゃん!竜胆ねぇだって牡丹にぃだって今普通に生活出来てるのにさ!しかも牡丹にぃは自分の好きな事して……竜胆ねぇに負担かけて、断れないの知ってたんだよ……!」

「そうかな…?」

ハルヒの言葉に一同はハルヒに視線を移した。

「…確かに竜胆先輩は牡丹さんの事を考えて桜蘭に来て、牡丹さんも竜胆先輩が断れない事を承知の上だったかもしれないけど…竜胆先輩はここに来れた事を感謝してるって言っていました。だから、負担じゃないと思う。だって、竜胆先輩は誰よりも優しいから」

誰よりも皆の事を考えてくれているのだから。きっと竜胆先輩自身よりも牡丹が上、と言うよりは竜胆先輩自身が一番下、という表現が正しいんだと思う。ハルヒの言葉に皆は竜胆を見た。

「鏡夜?お前さっきから黙りっぱなしだが…」

「…なぁ、環。このバカに自分の事を考えさせるにはどうすれば良いと思う?」

「…きっとさ、これは俺らがどんなに言っても無理だよ。兄弟の絆を信じてみたくないか?」

「そんな不確かなもん信じられるか」




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