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突然の事に驚いた面々。竜胆は大きく取り乱し、誰の言葉も聞きいれはしない。
「竜胆!おい、竜胆!」
「竜胆!一体どうしたのだ!」
鏡夜と環の声ですら届かない竜胆の動揺。竜胆を押さえている崇を振り払おうと必死にもがいている。逃げられない事が分かったのか、竜胆は自分の爪で頬を傷つけた。
「りんちゃんっ!」
光邦は慌ててその手を押さえた。綺麗な顔に爪痕がついていた。彼女の爪の先には赤が滲む。
「一体どうしたと言うのだ…!」
「環、光馨に連絡を。竜胆の状況を伝えろ。何か知ってるかもしれん」
鏡夜に言われた通り環は馨に連絡を取る事にした。竜胆の様子がおかしい!何か知らないか!そう伝える中で鏡夜は竜胆の携帯を拾いあげ、まだ繋がっている事に気付き、耳に当てた。
「勝手にお電話代わって申し訳ありません。友人の鳳鏡夜です。今柊君は大変取り乱しています。何が――…」
「私のせいだと言っていた!それで自分を傷つけてるのだ!このままだと気絶させた方が…」
二人の声が交差する。そして環の携帯から響く馨の声。
《気絶させるなら胴体は駄目!光は牡丹にぃに連絡して!殿!僕らもすぐにそっちに行くから!》
馨に言われた通り竜胆はうなじ辺りを強く叩かれ気絶した。そんな竜胆を部屋まで運び、すぐに医者を呼び手当てをさせた。医者は本人の状態を見ていないからなんとも言えないが、極度の精神的ショックの為に自我を失った、と考えているらしい。ベッドの中で静かに眠る竜胆の頬には大きなガーゼに包まれていた。
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