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「あまりにも“影”が欠如していますわ。乙女は美男の“トラウマ”に弱いもの!そんなバカみたいなノリでは飽きられるのも時間の問題!あなた方は鏡夜様のお店を潰す気ですの!?今日からキャラを一新します!まずあなた!」

熱くなったれんげの話は止まらずに最初に光邦を指さした。

「外見も中身も可愛いだけなら幼児と同じ!…よって“かわいい顔して実は鬼畜”――!」

これから一体何が始まる?誰もれんげに口を出す事はできない。

「銛之塚先輩!埴之塚先輩につき従うもその身を案じている!たまにしゃべる一言に絶大な重みを!双子はあまりの酷似ぶりに個別意識されない悩みがある!そしてバスケ部!柊先輩!あなたの女装には隠れた理由がある!それは自分のせいで亡くなってしまった姉の面影を求めて!ハルヒ君は超貧乏な優等生でイジメにあっている!そして環さん!外見ばかりを評価され実はコンプレックスを抱える学院のアイドル!“孤独な王子”」

孤独な王子と聞き、環はピッタリだと驚いていた。それに竜胆は逆に驚いた。そしてれんげは鏡夜にはいつも慈愛に満ちたあなたでいて…と言うがそれが一番間違いだという事に気付いていない。

「「鏡夜先輩さあ…どーにかしてよ、あの姫」」

「さて…?世話はハルヒに一任してあるしな。それにほら」

視線を動かせば、

「れんげくん、れんげくん!孤独のポーズとはこんなものだろうか…?」

「部長が乗り気だ」

アホだ、そう思った。

「まあ様子を見ようじゃないか。面白い事になるよ…多分ね?」

鏡夜の黒い微笑に誰にも拒否権はない。

「…鏡夜」

「何だ」

「見て、これ台本。私は姉の死が受け入れられずに心の中で一緒に生きているからこその女装なんですって。今時のゲームって怖いわね、設定が重いわ」

受け取った台本の柊牡丹の設定集を見せるように竜胆はそのまま鏡夜の前に置いた。

「…それがどうした?あくまで設定だろう?」

「…言っておくけど牡丹は死んでないわよ」

「勝手に殺すな」

「…でも、もし本当にそうなったら私はきっと牡丹として生きるんでしょうね…」

「つまらん仮定話をするな、馬鹿」




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