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「殿が帰ってきた途端人が続々と」
「でも力仕事は助かったね。筋肉痛になりそうだしちょっと面倒だっ…」
「「「………」」」
皆視線をハルヒに向ける。あれ?もうアクティブ期間は終わったの?そんな目だ。その視線にハルヒは言う。
「よっよーし!光馨!竜胆先輩も!この辺も掘ってみようか」
「「…おまえさぁ」」
「なんでまた急にはりきって生きてるワケ?」
「うっ…それは今までの自分の無気力ぶりを反省して…」
「だから何でよ」
ハルヒはモゴモゴとしながら喋り始める。
「…“何事も経験”って環先輩がよく言ってたでしょう?このまま何も変わらなくていいなら面倒くさがりのままでいいかもしれないけど、自分には目標があるから…その為には前に進む努力をしなきゃって気づいたんだ」
ハルヒの急な前向きは環の言葉のお陰だったのだ。そう気付いてしまえば、ショックを受ける人もいる。
「そ…っか。殿が原因だったんだ」
光の表情は明らかに落ちていた。
「ひか…」
その時採掘担当の一人が固い物に当たったといった。そうしてまた環を中心に人が集まる。
「あっちで何か見つかったみたい」
「行ってみよ。光」
「いや、僕はもう少しこっち掘ってみる」
光は一人スコップを手にしていた。その背中はとても寂しそう。それもそのはずだ。竜胆はそのまましゃがみこんで光が掘るのをじっと見ている。
「…竜胆ねぇ。今回随分とものぐさじゃん。ハルヒの移った?そもそも鏡夜先輩んとこ行かなくていーワケ?」
「…光。その台詞うざい。それを言うのなら光だってそうじゃない」
別に心配されたくないわ。竜胆は靴でその場を軽く掘った。
「…ねぇ、光。ちょっと相談していい?」
「え?竜胆ねぇが?う、うん!いいよ!何でも聞くし!」
「…光は馨に何かあった時、嫌な予感とかする?」
「…は?」
何か胸の辺りがざわざわすると言うか、落ち着かない気がしてならないのだ。もしかして牡丹の身に何か…?そんな不可思議なものを信じて良いのか分からない。だからこそ、双子である光に聞きたかったのだ。
「…い、いや。僕と馨は別行動ってあんま無いし…嫌な予感ってどんな感じなの?」
「…何か落ち着かない。それとも別に何か焦っている事でもあるのかしら?今更焦る様な事はないつもりだし、だからこそ牡丹の事かなと思ってね…」
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