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結局四人は参考になる物も見つけられず、お手上げ状態だと言う事で文章の解読をしている面々の所へ戻った。結局地理や歴史が得意な崇に丸投げ状態。
「この地図は明治終わり頃のものと考えて間違いないと思う。ここにある“桜蘭”は大学部の元になった桜蘭専門学校の事だろう。ちょうど今の北校舎あたりに建てられていたと聞いた事がある。そこから考えると地図上のこの×印は以前光邦と靖睦が決闘した丘のふもとあたりだと思う」
崇は地図を手に指を使いながら説明していく。
「範囲は絞られたけど、それでも漠然としすぎてるねえ〜」
「そうなるとやっぱり文書からヒントを読み取るしかないですね」
と言うが本自体の損傷が激しく肝心な所は読み取れなかったりする。
「この“ススキより30問”って部分が重要そうなとこまではわかったんだけど…」
海外暮らしが長かったせいか、不得意と言う程でもないが古典は無理だと諦め竜胆は本を覗き込む事無く皆の意見を聞く事にした。
「…ちょうどススキのキの右側に濁点があったように見えなくもないか?」
「“ススギ”…?何ソレ」
「あっ!“進木”!」
「そうか!“杉”の由来になってる古い言葉だよ!まっすぐ上に進むように伸びるから“進木”!」
へぇ、そんな言葉があるのねぇ。竜胆はやはりぼんやりと聞いていた。
「古い杉なら高等部のすぐ裏にある!」
「じゃあその杉の木から丘のふもとに向かって30間歩いた所が…」
「宝は見つかったか―――っ!」
ハルヒの言葉を遮る程の大きな声。それは環のものだった。環は額に軽く汗をかきながら図書室に駆け込んできたのだ。
「環」
「「ミーティングは?」」
「気になって仕方ないからミーティングが終わってすぐ戻ってきたのだ。解読は済んだかにゃ?おとーさんも一緒に頑張るぞ!」
「も…もう仮説は立ちました!」
ハルヒに近寄った環だが、ハルヒは顔を赤くしながら本ごと環を押しやった。やっぱりまだ感情の整理はついていないのか、ハルヒの行動は恋そのもの。
「ぬ…ぬぬ…そそそうかそれでは…いよいよ発掘作業だ!者どもつづけ――っ!」
「「おおぉー!」」
完全にいいトコ取りの環だったが、不思議な事に環が帰ってきた途端に人が集まりだすのだ。そして宝を掘り起こすと意気込んだその時には辺りには人だかり。ホスト部だけではない。お客様の女の子達も、運動部の先輩達も。環を中心に集まる。それを遠巻きに見ている四人が居た。
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