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「でも、どうして私はかぐや姫なのかしら?」
「竜胆先輩は…望んでいるものが多いと思います」
それはわがままだと言いたいのかな?竜胆は笑みを引き攣らせたまま首を傾げた。
「でも嘘は通じない。本物しか望まない。そしていつも空を見上げている…だから、イメージに合うかなって」
私は確かに多くを望んでいる。皆が幸せありますように。皆が自分の夢に向かって真っ直ぐ進んでくれますように。いつまでも続く関係でありますように。彼の気持ちが報われますように。彼がこちらを向いてくれますように。それよりもねぇ、ハルヒちゃん。かぐや姫って悲恋なのよ?いつか帰ってしまう月の姫の話。そしてそんな姫に恋した帝は悲しみに暮れた。竜胆はそっと鏡夜を見た。
「ん?どうかしたか?」
「いえ、何でもないわ」
もし私が帰ったら貴方は悲しんでくれるかしら?いいえ、怒るでしょうね。一発叩かれても文句は言えない。それとも、月まで飛んできてまで私の手を引いてくれるかしら、なんて。
「ハルヒってばどうしちゃったワケ?風邪で寝込んで以来やけにアクティブじゃん」
「…積極的なのはいーんだけどこのセンスはさすがになあ…」
「これでもマシなのを選んだつもりだぞ?」
鏡夜があげた他のハルヒの案を聞いて光馨、そして竜胆は呆れてしまった。たこやきコスプレ。全員で巨大な容器に入って体育座り。おすしコスプレ。残念ながらどれも挑戦したいとは思えない。程度の低い仮装パーティーとなってしまいそうだ。確かに馨の言う通りハルヒはアクティブに、積極的になっていた。普段は話を聞いている側だが、今日に限ってはお客様の好みを聞いている。それにときめきを隠せない乙女達。
「積極的なハルヒってさあ…」
「うん…あらゆる意味で危険だったんだね」
「天然って恐ろしい」
そんな三人の後ろでは情けない格好のまま顔を赤くし、ブツブツ呟くカメの環。
「どどどうしよ…かわいいかわいい」
どうもこの間お見舞いに行ってから様子がおかしいのはハルヒだけではないらしい。
「ちょっとそこのカメ。ボーっとしないで働いてよ」
「でかい図体で更に甲羅とかつけられると邪魔なんだけど」
「てゆーか、裾踏んでる。動けないから早くどけ」
「なんだよう、やめろよう!」
悪魔三兄弟でカメを苛めていればそこには物語り通りうらしま太郎が言うのだ。
「こらこら子供達カメをいじめてはいけないよ」
「鏡夜!」
「とりあえず助ける代わりに金銀財宝でも前渡ししてもらおうかな?」
お金マークのジャスチャーをするうらしま太郎は夢の欠片もありませんでした。むしろ最低。
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