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「鏡夜様☆ハルヒくんに庶民クッキーを教わりましたの☆れんげお料理なんて初めてだからちょっとコワかったー☆」
「そうだな…かなりいい色に焼けているね」
どうもれんげは鏡夜に夢中過ぎらしい。なんとも不思議な光景だ。れんげの話ならば見た目があれであれば誰でも良い、と言う事ではないか。そういう考え方はどうも好きではない。それは竜胆の生い立ちのせいもあるだろう。
「でもわかってますわ…鏡夜様ならきっと“君の作った物ならごちそうだよ”って…」
「まずい」
「なんじゃコリャ。岩か」
後ろで光馨だけではなく光邦、崇までもれんげの作ったクッキーを手に取っていたが、竜胆は流石にそれを取る勇気はない。真っ黒だ。最早クッキーではない。炭だ。当然文句を言った面々はれんげに追い回される事になる。
「ハルヒちゃんのクッキー貰えるかしら〜?食べてみたいわ」
「はい、どうぞ」
竜胆は甘さが控え目のジンジャークッキーをハルヒから貰いそれを口に入れると美味しかった。うん、お菓子に庶民も何も関係なのね、そう学んだ。
「ありがとう、ハルヒちゃん。美味しいわ。また今度作ってちょうだいな」
そして何を思ったかハルヒが口に加えたクッキーを光が口で半分奪い、頬についたクリームを馨は舌で奪い取った。それを見ている環は声にならない声をあげる。
「とりあえずクラスメイトの男子とはかなり仲良しだな」
「いい事じゃない。お友達沢山で。まぁ、私は女友達も男友達も多いわよ。最近相談に乗ってくれって事が多いのよねぇ」
「「頼れるオカマポジションじゃん」」
「光馨!違うわ、私オカマじゃないわよ!女装趣味!口調はこっちの方が面白いでしょ、色々と!」
その色々はよく分からない。光と馨はハルヒの間違っているリアクションと、環の大袈裟なまでの反応を楽しんでいるだけだった。
「れんげちゃん、れんげちゃん。ミルク…飲む?」
れんげは何を思ったか訊いてきた光邦の頬をつねった。そして光邦は崇に助けを求める。そんな光景を見てれんげは言う。
「…ぬるいですわ…総じてキャラがぬるい!(鏡夜様以外)」
一体何を言い出すんだ、この子は…。そんな思いのまま皆固まった。そしてれんげは話を続ける。
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