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「ねぇ、ハルヒちゃん。その雑誌にどう感化されるのはハルヒちゃんの自由よ。でも、大事なのは自分がどう思うか、なんじゃない?初めての感情でハルヒちゃんは驚いているだけで、目を逸らしたくなっている。でもさ、結局答えはもう自分の中にあるんじゃないかな?」
ハルヒちゃんは自分の胸に手を当てて考えている。きっとこの子もそうなのだ。環が自ら選んだわけじゃないけれど、この子もきっと狭い世界の中に居た。そして環に出会いその世界を壊され、周りとの繋がりに気付いた一人。
「無理に考えなくていいのよ。そういうのは自然と答えが出てくる時が来るわ」
私は彼女の頭に手を伸ばした。
「竜胆先輩も、そうなる事、ありますか?」
「あら、勿論あるわよ。私の初恋は今も継続中なのよ」
「…ど、どう思いますか?」
どう?それはどれについての質問なのだか良く分からない。
「…大事な気持ちよ。お陰様で今私は女だと言う事を忘れられなくなっちゃったケド」
「…あ、相手に伝えたりはしないんですか…?」
「私は今すぐにどうにかなりたいワケじゃないし、それに牡丹の代わりなのだから言えるはずがない。だからね、まだいいのよ。友人として側にいるの」
例えその隣に私以外が居たとしても、それは仕方ない。自分で決めた事なのだから。
「私が言わないからハルヒちゃんも言わない、とかそういう考えはダメよ。自分で結論を出しなさい」
「竜胆先輩…」
「後、ハルヒちゃんは今日は帰りなさい。ね?ゆっくり考えた方がいいわ。これから自分がどうするのか、ちゃんと自分と向き合うの。でもね、無かった事だけにはしちゃだめ」
「え?」
「だって恋をする女の子は最高に可愛く輝くのよ!」
私はそれだけ言ってから保健室から出た。後はハルヒちゃんが自分で考えなければならない事だから助言はここまで。彼女ならその気持ちを無かった事にはしないだろう。それに対して考えなければならないのは環の方だと思う。ハルヒちゃんがあんな態度をとり続ける以上環だって何かしら思う所があるはずなのだ。両想いのはずがなんだか遠回りしてしまいそうね。ねぇ、鏡夜。あなたはどうするの?その気持ち無かった事に出来るの?一言相談してくれれば私は応援するわ。全力で協力してあげると言うのに。
「ハルヒちゃんなら早退したわよ。始業前に会ったから」
皆でお見舞い行こうとするがそれを止めた。きっとここは環が行かなきゃいけないから。誰も私に相談してくれない。だから相談してくれたハルヒちゃんの味方をするに決まっているじゃない。それが結果環を応援する事になっても。
終
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