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「竜胆先輩っ!ちょうど良かった!」

こんな人がいっぱい居る中で私の名前を呼ぶのは誰だ!?お仕置きとして頭を一発叩いてやるしかない!そう思って私は手を挙げ振り返って一瞬迷った。


藤岡ハルヒの観察日記@


そして私は目の前の光景に戸惑っていた。朝から日直の手伝いで職員室まで行き、教室に帰ろうと歩いていた時、保健室の前で声をかけられて振り返るとそこに居たのはハルヒちゃん。恋と病を勘違いした可愛らしい少女は本当に風邪をひいてしまったかの様にマスクに鼻をぐずっている。ここは体が温まるジンジャーティーでも。と、用意して貰い、ハルヒはマスクを下げてそれを飲もうとしたのだが、何分熱いらしい。ちなみに保健室に居る。どこか遠くで始業5分前を知らせる予鈴が鳴ったがハルヒちゃんには聴こえていないらしい。

「で、どうしたの?」

「昨日、メイちゃんが…」

「あら、メイちゃんは元気?私もメールしなきゃ」

久しぶりにメイの話が出て思い出した。そう言えば研修旅行のお土産…いや、空港土産にしか過ぎないから渡すのはやめておこう。怒られるに違いない。

「メイちゃんが貸してくれた雑誌に…1.その人の事を考えると胸が痛くなる」

ふんふん、それで?

「2.その人が嬉しそうだと自分も嬉しくなる…3.笑いかけられると泣きそうになる事がある…4.その人の声を他の人よりよく拾ってしまう…5.その人には尊敬すべき点が多いと思う…6.その人の力になりたいと思う……チェック項目の合計点が80点以上だったアナタ☆ズバリ!彼に“恋”しちゃってるでしょう…」

そういう乙女的な雑誌をハルヒちゃんは読まないだろうし、今まで気付かなかった方が不思議なのだが、逆に微笑ましい。

「その相手と言うのが環なのね?」

「は、はい…で、でも、考えられなくて!間違ってると思うんです!相手が環先輩、だなんて…」

この子は今まで恋をしてこなかった子なのだ。一生懸命勉強だけをしてきて、夢にだけ真っ直ぐ。夢にだけひたむきというのは良くない事だったのね。


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