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「おぉー!鏡夜!竜胆!お前達も早く屋根の下へ!」

この優しさがあるから環も離れられないのかしら?

「お、竜胆いいなぁ。俺もその傘に入れておくれ」

鏡夜が何かを言う前に竜胆が先に口を開いた。

「嫌よッ。最近鏡夜は環の事ばかりなんですもの。たまには私にも鏡夜を貸して!」

「むぅ。仕方あるまい。いいか?すぐに返すんだぞ?」

「おいおい、お前等。俺を物扱いするんじゃない」

そう言いながら三人で笑いながら第三音楽室へと向かったのだ。

「うひゃータオルタオル!」

「環先輩、鏡夜先輩。竜胆先輩も」

ハルヒからタオルを受け取ったが竜胆には拭かなければならない所はなかった。受け取ったタオルはそのまま鏡夜に向けた。

「嫌だ」

「まだ何も言ってないわ!」

折角拭いてあげようとしたというのに。

「皆さん、見て下さい」

ん?と視線をハルヒが指さす崇に向ければ、崇が持つタオルの中に汚れたタヌキの姿

「おお!?タヌキさん!」

どうやら崇が部室に戻った時たまたまタヌキは山の幸を差し入れ中だったらしい。とりあえず帰す山が見つかるまではちゃんと申請を出して崇が責任見る事にしたらしい。

「あれえ〜?ヒカちゃんとカオちゃんは〜?」

そこに光と馨の姿はなかった。雨が降ってだいぶ経つと言うのに。

「そうだ、鏡夜、竜胆。俺週明けからの研修旅行欠席するから。…やっぱ行けないだろ、フツー」

環の寂しげな表情。

「悪いけどよろしく頼むわ、それでさ、部の皆には内緒にしてよ。心配させたくないしさ」

「…こういう時ぐらいは心配かけてもいいと俺は思うがな」

「…後でバレて怒られるわ」

それでも環が決めた事だからこれ以上は何も言えない。今のは環を否定するのではなく、あくまで自分達の意見。

「…けどまあわかった。土産はエッフェル塔の置き物でいいか?」

「アハハ、いいねー2mくらいのやつ背負ってきてよ」

「鏡夜が自分の手で重い物を持ってる所見てみたい気もするわね、ね、鏡夜どう?」

「するか、バーカ」




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