11 (1 / 3)


ホスト部一同より新年のお喜びを申し上げます。という事で新年最初の部活動は着物で行われていた。色んなデザインの着物は光馨の母である常陸院柚葉の作品、着付けにはわざわざ祖母に来てもらったのだ。こんな素晴らしい着物とそのあえての崩し方に感動するが、環のキセルだけはよく分からないと竜胆は首を傾げた。

「牡丹の君のお着物は女性物なのかしら…?でも、女装ではないわよね?」

「そう、女性物をあえて男のまま着て着崩す。それを言われて格好良さに感動してしまってね。…このまま女装趣味も自粛しようかな、なんて」

「どうしてですの!?」

「最近俺自身男の認識されなくなっているし……そもそも気持ち悪いかな、女装が趣味の男なんて…」

涙ながらに女性達を見ればそんな事はないわと大きな声があがる。心配する声と同時に竜胆の涙に感動する声だった。あちらこちらで同じような状況が起こっており、最近涙物が流行っているのかとハルヒはぼんやり思った。そして拾った目薬。

「汚…」

「言っておくけどこんなのホスト部の常識なのー」

自在に涙を零せるのは環と論外の光邦くらいだ。黙ってもらう代わりに高級和菓子を出せば、ハルヒはそれを無くなった母親の仏壇に供えたい…それが感動のフィナーレだった。

「アレ?お客さん新顔だね。どうしたの、入っといでよ」

馨の言葉にハルヒに集中していた皆の視線が入り口に集まった。そこに居たのは壁に隠れながらこちらを見る一人の女性。

「怖がらないで、お姫様。ようこそ桜蘭ホスト――」

環が言い切る前に女性は悲鳴をあげた。

「さわらないでニセモノォ!」

その声は部内に響き渡る。


[prev] [next]
[bkm] [TOP]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -