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そして次の日桜蘭の校内新聞へと大きく鏡夜と九瀬の名前が載る。桜蘭の体育祭が始まろうとしていた。初めての体育祭に皆浮き足だっていた。そもそも桜蘭の生徒はイベント好きな者が多く、反対意見等は出てこなかった。

「鏡夜先輩って運動音痴なんですか?」

様子のおかしい鏡夜にハルヒが尋ねると、

「運動音痴?お前と一緒にするな。俺はただあまりにもメリットがなさすぎると言っているんだ」

鏡夜はハルヒを見ていた目を光邦に向けた。

「でもきょーちゃん、体育祭で活躍すればお客さん増えるかもよ〜?」

活躍するのは光邦と崇。それにはDVD販売も考えているものの鏡夜の言葉は冷たいまま。

「やはり見せ場は運動部が有利でしょう。文化祭の様に親にアピールする必要もありませんし、イベント後の客足が多少増えた所で、練習時間で生じるマイナス分を考えれば利益など期待できませんね」

「鏡夜?」

様子がおかしいけれど。そう訊こうとした時光と馨が荒々しく扉を開いてやってきた。

「ねーちょっと聞いてよ信じらんない!出席番号で紅白分けしたら僕と馨バラバラになっちゃうんだけど――!僕とハルヒが赤で馨が白組!鏡夜先輩!殿に組分け方法変えるように言ってよ〜」

「自分で言え」

そう言う鏡夜はやはりいつもより冷たく感じる。

「僕らもバラバラだよ〜崇が赤で僕が白〜」

「なら、私は馨とハニー先輩と同じだ」

はっきりとは覚えていないけれど。そもそも運動なんてやりたくても出来ないのだからこのイベントは楽しいとは思えない。前の文化祭の様に見せ場があるとも思えない。

「タマちゃんは?」

「さぁ。あいつは赤組なんじゃないですか。うちのクラスは俺が白組になるよう振り分けましたから順番通りにいけば…」

鏡夜が言い終わる前に環が第三音楽室に入ってくる。

「ふはは!その通り!体育祭実行委員長として赤組副将とは俺の事だ!赤組絶対優勝−−!鏡夜も竜胆も組は分かれたがお互い正々堂々戦おうな!そして更なる友情を深め…」

先ほど言葉を遮られた仕返しのように、今度は環の言葉を鏡夜が遮った。

「人をダシにしてくだらんイベントを立ち上げる奴のどの辺に友情が?」

「そ…それは悪かったけど…でも鏡夜もやればきっと楽しいって…」

「そうか?俺には無意味にしか思えないけどな」

「鏡夜…」

「利益もないのに無駄な汗を流す趣味は俺にはないんでね。白組大将は辞退する」

鏡夜は立ち上がり、出口へと一人向かう。

「鏡夜…」

「環。悪いけどつき合えないな。今回のおまえのやり方は気にいらない」

鏡夜はそのまま一人第三音楽室から出て行ってしまった。鏡夜が本気で怒っているのが目に見えた。


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