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「南国の果実の香りに誘われて覗いてみれば…どうやらお前にフルーツを語る資格はないようだ」
「先輩も暇ねぇ」
また面倒なのが来た。竜胆は小さく溜め息を吐いた。
「いいかね、鏡夜君。君がたった今“意味がない”と言った――」
ドラゴンフルーツの豆知識等は正直どうでもいい。九瀬と鏡夜の知識合戦も正直どうでもいい。竜胆は優雅に三線に手を伸ばした。
「あらあら。やっぱりここにいたのね猛。ごめんなさいね。彼ったら相変わらず鏡夜君に勝負を挑みたくて仕方ないみたいで…」
こりないバカなのよ、そう言って来たのはアメフト部部長の九瀬の婚約者でいつぞやは大変世話になった。満山香南である。
「勝負…」
「本当〜におまえは頭に来る奴だな。どうだ?勝負するか?」
「遠慮しますよ。価値のない勝負は受けるなと昔から父に…」
鏡夜がいつものように流そうとしたその時大きな声が鏡夜の声を遮った。
「いいや!勝負しろ鏡夜!」
「環?」
「スポーツだ!男ならスポーツで勝負するのだ!俺の中で今全てが一つにつながった!よって俺はここに桜蘭史上初の“桜蘭大運動会”の開催を提案する…!」
「その案乗ったぁ!」
アメフト部部長の九瀬は環に賛同し、大きな声をあげた。ハルヒは運動オンチなので本気で肩を落とした。
「何、運動会?ちょっとそれは困ったな…」
そういう竜胆だったが三線から手は離れていない。それを見て本当に困っているのか謎だ…。とハルヒは呆れた。そして運動会を開催するにあたって、理事長への許可を取りに皆で移動をした。場面変わって理事長室へ。
「体育祭?いいね。許可しよう。とはいえ私も詳しくはないんだが藤岡君、一般の学校ではどういった種目が?」
理事長は体育祭をあっさりと許可したのだ。
「種目は大体つな引きとかパン食い競争とか。それから応援合戦があったり、リレーとか騎馬戦とか」
皆の頭の中には騎馬戦と聞いて本当に馬を想像する皆。
「ふうむ。随分脈絡のない取り合わせなんだな」
本当に分かっているんだろうか。絶対想像しているものは違う。それは大きな間違いだと知っているのはハルヒだけ。
「結構何でもアリなのだな。それじゃあ俺は飴細工がやってみたいなあ…」
「え…それこそ何の脈絡が?」
応援合戦では何にしようか、そんな話で盛り上がる中鏡夜だけはしらっとしていた。
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