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「…やだなーハルヒ。何言ってんのさ。クッキーくらいで大げさ――☆」

「光とメイちゃんおかえりーお母さん行ったの?」

ああと小さく頷く光はどこか元気が無さそう。

「…馨?馨はどう思う…?ハルヒってさ…」

「え?」

「いや…あ、それ美鈴っちのクッキー?」

その反応を見れば光もそのクッキーが好きな事は分かった。

「ラスト1個だよー!ハイっ!」

「サンキュ。馨の分は?」

「僕はもう食べちゃった」

「ふーん」

光は手に取ったクッキーを半分かじった後、それを馨の口へ持って行った。

「…ばーか。そんな嘘が通じるか。ほれ半分コ。なーに気ィ遣ってんだよ。次にこーゆー嘘ついたら許さないからな」

そのクッキーは仲良く半分こ。そう、クッキーだから半分こに出来たのだ。なら、クッキー以外なら…?ようやく戻ってきた環と鏡夜。それよりも竜胆は馨が気になってしまった。馨の寂しげな表情。

「かーおる」

「…竜胆ねぇ」

見て分かってしまったのだ。光邦も当然。

「カオちゃんカオちゃん。カオちゃんはハルちゃんの事が好きなの…?」

「ハニー先輩…」

「私はお暇しましょうか?」

竜胆の言葉に馨は答える代わりに竜胆の手を掴んでいた。

「…うん。…ずいぶん前から自覚してたよ。でも絶対うまく隠し通せると思ってた。僕は今のホスト部が好きだし、光が大事だし。でも、なんかもう自信なくなってきちゃったなあ」

ハルヒに言われた言葉。光に言われた言葉。

「あーあ…ほんとにどうしたらいいのかな…」

馨の小さな声はとても切なくてとても寂しそうで。なんと声をかけたら良いのか分からなかった。私も同じだった。どちらかで揺れてしまう気持ちは一緒。

「…分からないよね。うん、私も分からないや…」

だから手を繋ごう。一人じゃないと思える様に。




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