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一時間後。ハルヒと竜胆は可愛らしく仕上げられていた。
「あらあら可愛らしい!お人形さんみたいじゃない?」
化粧をして髪も遊ばせれば可愛らしいハルヒ。それを見て竜胆も顔をニマニマとさせた。普段も可愛いけれど、少し手を加えれば可愛さが引き立つ…!
「そこの人ー感動するのは良いから早くポーズ取ってくれない?」
ハルヒが横でくるくる回っているのにようやく気が付いた竜胆はお手本と言う様に笑みを浮かべた。
「メイちゃん、ばっちり撮って」
後ろを向いて、振り返って、笑顔を浮かべて。竜胆は柚葉の言葉に的確に答えていく。最後に華麗にくるりと回れば柚葉は笑顔で拍手をした。
「ん〜!相変わらず!親譲りのスタイルも顔立ちも完璧!リズム感もあるし、愛嬌もある。いい加減ショーに出てよー日本のだけでも良いからー」
「嫌ですよっ。牡丹の名前で良いんですか?男」
「あら、牡丹ちゃんは今海外でしょう?竜胆ちゃんの名前で出せば良いじゃない」
「いやいや。そうしたら竜胆二人居る事になっちゃいますから」
竜胆は少し頬を膨らましながら自分の頬に当たる髪を触ろうとしたが、ウェーブアイロンのお陰で短くなったそれは掴みたいとは思わなかった。
「あのう…もう脱いでも…?」
「ああそうね二人共いいわよ。光馨どう?」
「「オッケーだよ」」
「やっと脱げる…暑い…」
そう思ったのも束の間、光と馨そして柚葉の手には服が握られている。
「「「ハイ☆じゃあ次はコレとコレとコレね☆」」」
「え!?いや…ちょっと休憩…」
控えが待っている事等露知らずのハルヒはその量に驚いた。ハルヒが一歩退いたその後ろから見知った声が聞こえる。
「あーっ!ハルちゃんもりんちゃんもかわい――っ!」
「へぇ…さすが柚葉さんの見立てですね」
ホスト部の面々だった。相変わらずどこに居ても集まってしまうのだ。
「「殿。美鈴っちの手伝いは?」」
「うむ!昨日で終了したのだ!」
その瞬間ハルヒが部屋から飛び出して行った。
「「ハルヒが逃げた!」」
それを必死に追う部員達。ハルヒは涙を零しながらお手洗いに行くだけだからと声をあげる。残された四人は勝手にお茶にする事にした。
「…ん〜動き辛い」
「えぇ、でもりんちゃんとっても可愛いよぉ」
「そうですか?ありがとうございます」
環がバイト代として貰ってきたクッキーに竜胆は手を伸ばした。光とメイは途中で戻ってきたが、柚葉の仕事の見送りだと外へ出て行った。竜胆はいつでも会えるしと手を振っただけだった。
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