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「でも美鈴さんに頼まれてるし…」

「美鈴ゥ?誰それ功だろ、イサオ!あの骨太ブリブリカマ男!」

しかもすっごい口ぎたなく――…普段周りにいる女の子達がいかにお上品なのかを思い知った。いくら竜胆男装バージョンでもあそこまで口を悪くするのは不可能だ。

「あんな金持ち学校の制服でうろつかれたら色々噂されるし、ダッサイ私服も迷惑なんだよ!金持ち男は好きだけど桜蘭は次元が違いすぎてイヤ!大体アンタ女じゃん!女なら女のカッコしろっつーの!」

それを聞いた環は我先に車から飛び出した。

「…それについてはグッジョブお嬢さん。どうやら君とは話が合いそうだ。初めまして、須王環とゆかいな仲間達です」

「「なんじゃそりゃ」」

「新しい自己紹介の仕方覚えたな…」

美鈴の娘は目を輝かせてハルヒに詰め寄った。

「えーと君はメイちゃん…でいいのかな?」

「ハーイ☆安村メイでっす☆ヨロシク…」

「とても素敵な小麦色の肌だねどこ行ってきたの?ハワイ?その立体感あるメイクもとても情熱的だね。これから舞台かい?」

その言葉にメイは固まった。だが、これは嫌味等ではなく環にとってストレートに褒めているのだろう。きっとダンサーなのだろう、とか思っているだろう。

「スカートすっごい短いね〜寒くないの?」

「いやこれはテニスのスコートでしょう」

「おーつけまつげ長っ!」

「どうやらよく見ると素顔はけっこう地味だね」

「「ていうか美鈴っちに似てんじゃん☆」」

「オシャレに気合が入ってる女の子はいいじゃん」

寒そうだけど、目とかしょぼしょぼしそうだけど。フルタイプの付け睫毛上下は眠くなりそう。

「ちょっと…何この失礼な奴ら…」

皆の無自覚な失礼な言葉はどんどんメイのストレスを溜めていく。

「ていうか自宅は?美鈴っちん家がイヤならひとりで自分ちにいりゃいいのに」

「うっせーな!自分ちは後で母親にバレんだよ!元々ひと月くらいは友達んち泊まり歩くつもりで…」

「「「「へーひと月くらいならホテルに泊まればいいのに」」」」

その言葉にハルヒの呆れざるを得ない。

「もういい!ムカついたから気晴らしにカラオケ行こ!責任とってアンタおごりなよ!」

「「へーカラオケかー☆」」

ゆっくりと進むリムジンはメイとハルヒの二人の横にピッタリとついている。

「僕初めてなんだ〜☆」

「やはり庶民は何かというとカラオケなのだな!」

「よかったな」

「でも、どうして何かとカラオケに行きたがるのかな?」

「…わかったから車から降りろ…!」


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