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「最近ホスト部の方々とお親しいそうですが、3年の埴之塚さんについてはお詳しいのかしら」

「あ゛?イヤ…あんまし…」

「そうですか、お時間をとらせて申し訳ありませんでした。お詫びにこれを」

彼女が話しかけた笠野田の机に置いたのは黒魔術部特製呪い人形。そう、残念ながら彼女の趣味は呪い。であるが故にクラスではだいぶ浮いた存在でありました。

「なんで僕呪われてるの〜?殺される〜?」

「…ちょっと話をつけてくる」

モリ先輩!暴力はダメ!皆は慌てて崇を止めた。呪いを妨害すれば更に災いを招いてしまうらしい。

「…竜胆。お前が言っていたのはこれか」

「そう。理由は分からないけど」

猫澤に話しを聞けばどうやら彼女はハニー先輩に魂を抜かれてしまったので、その復讐に今度は呪いで光邦の魂を奪うつもりらしい。その証拠に、と見せたのは消しゴム。名前を記して使い切る事で相手の魂を手に入れる呪い。え?呪い?皆は固まってしまう。

「…あれ、これってさ、他の誰かに触られたら効果きれるんじゃないの?」

遠い昔に女の子達が話していた様な気がする。そして猫澤は更に伽名月の鏡を見せた。そこには“はにのづかみつくに”ピンクのマネキュアで名前を記せば相手の魂を――…その話はもういい!

「これ呪いじゃないから!」

どう考えてもおまじないなのだ。好きな人が自分を振り向いてくれるような、そんな小学生レベルのおまじない。

「いいえ、呪いです」

振り返ればそこに居たのは噂の伽名月。伽名月はちょうど良かったと光邦の髪を一本抜き、自分の髪の毛と結びつけた。

「ええと…もしかして君は…ハニー先輩の事が好きなのかな…?」

「専門的に言えば魂を奪われたのです」

「うん…だからそれは心を奪われたという事では…」

「さあ…一般論はわかりかねますが具体的に言えば私の思考の9割が埴之塚さんで占められており、動悸もいたします。外見も私のフェティシズムに合っておりますし、そもそも私はピクシーが好きなのです」

魂を奪われた以上こちらも頂く。それまでは断固呪わせて頂きます、だそうです。

「あいや、伽名月ちゃんって可愛いな」

「…お前は女であれば誰でもいいのか?」

「…基本そうかも。でも可愛いじゃん。素直じゃなくてさ、やり方はあれでも必死にアピールしてる。ちょっとばかり羨ましい」

「羨ましい?」

「私はあんなに自分の気持ちを表現出来ないからね」




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