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「あらごめんなさい。このお茶私の口には合わないみたい…すいませんけどクランベリージュースを御用意頂けないかしら?カナダ産のものがいいわ」
「…ハーイよろこんで☆」
そう言う光の額には苛立ちマークが見える。
「それから中庭は建物に囲まれているのでしょう?スパルームはもっと解放感のある場所に作って頂けないかしら?」
「…ハーイもちろんすぐに移築を☆」
「ごめんなさいねお手数ばかりで。あなた方の御親切必ず兄にお礼させますわ」
「「いいえお気遣いなく〜〜☆」」
が、怒りが頂点に達し王女が見ていない所で笑顔を崩した。
「…ずいぶん寛大精神でしたね」
「…ヒカちゃん達にしては頑張ったと思うよ〜…?」
「むしろあれは褒めてあげたいわ、お兄ちゃん弟達の成長を見た気分」
環が王女をリラックスルームへ案内して行った時、ハルヒを呼び止める声。それは1−Aの桜塚だった。
「え?嘘!?」
「王女の仰ったバーテン公とうちは祖父の代から親しくさせて頂いているんですけど、モナール王家と交流があるなんて話は聞いた事がないの」
それに今はバーデン公の奥様は体を壊されていてスイスで療養中。そんな中、日本に来れるはずがない。
「じゃあ何で王女はあんな…」
「ちなみに彼女の言う“王宮での豪華な生活”も嘘だよ」
「鏡夜先輩」
後ろから来た鏡夜は話し始める。相変わらず神出鬼没だ。
「モナールは、表向きは豊かだが国内の貧富の差はまだまだ大きい。即位まもないローランス新王は非常に堅実な人物で王族といえど贅沢を許さない。彼女がそんな贅沢な暮らしを送れているはずがないよ」
そんな中王女付きの召し使いが150人もいるはずがないのだ。
「あんの王女…!ワガママな上にうそつきかよ!鏡夜先輩なんで黙ってたのさ!」
「タマちゃんがかわいそうだよう〜」
「嘘だろうが何だろうが言っただろう?仮にも王族にとり入っておくにこした事はない」
常連のお客様の前でなんていう事を言うんだか。そんな鏡夜に呆れつつも竜胆は小さく口を開いた。
「きっと環は王女が嘘をついている理由を知った上での行動なんだろうね」
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