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「王女、お待たせ致しました。本日のところはフレンチのコースでお許し頂きたく…」

「ええ。結構よ。それじゃあどなたか…」

王女の視線はハルヒに向かっていた。そして王女は言うのだ。

「ああ、そちらのあなた。聞けば庶民のお育ちだとか?毒味お願いできますかしら?」

「「…っおい!アンタ…!」」

光と馨が立ち上がった。それには流石に竜胆も立ち上がったが、それを環が止めた。

「「だって殿!」」

「王女、お毒味ならぜひ僕が」

「そう?じゃあお願いしますわ」

そもそも毒味と言う事自体失礼に値するし、ハルヒにそれを命令するなんてもっと失礼だ。言われたハルヒこそ気にしていないが、光と馨は怒りっぱなしだった。部活の為に第三音楽室へ向かう時も隣に環はいない。王女の見送りへ行ってしまった。鏡夜と竜胆はゆっくりと長い廊下を歩く。

「…ミシェル王女はどうしてあんな出まかせばかり言うのかな?あんな贅沢な暮らしが出来るはずがないのに」

「…さあな。早く帰りたいのかもな」

「だから散々わがままを言っている…あぁ、そういう考えもあるのね。でも、本当にわがまま言いたいだけの可能性もあるよ?」

女ってそういう所あるからね。竜胆は小さく笑った。

「考えたくはないな、あまり。じゃじゃ馬はお前一人で充分だ」

「じゃじゃ馬とわがままをセットにしないでよね、もう。それにしても環はどうして皆の協力を仰ごうとはしないのかしら?」

「…自分のわがままだと思っているんだろうな」

「…散々わがままでこっちを振り回してきたくせに。今更一つが増えたくらいでどうって事ないって話」

言っている事はなかなか辛辣だが、それでも共感は出来た。一人で尽くし続け環の評価を落とすのならばホスト部全面協力しています、の方が立場上良いだろうに。

「…自分は環に何をしてあげられるのかな」


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