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「君がハルヒとお近づきになりたいというなら父である俺を倒してからにしてもらおうか…?」

「お父さんなんですか?藤岡の…?」

笠野田の言葉に環は固まった。ハラハラと見守る面々。環が何を言うかが気になるのだ。

「血は繋がってないかもしれんがお父さんのようなもので…」

「え…つまり藤岡の母親と関係が…」

「え…違うけど…お会いした事ないし…」

「…それじゃあ父親じゃなんじゃないすか…?」

笠野田は純粋な質問でとどめを刺し、環は動かなくなった。

「環!カムバック!」

フラ〜と倒れそうになった環を皆で抱え上げ、バッグさせる。その様子に笠野田が驚いたのは言うまでもない。

「危なかった…今度こそ殿が宇宙の塵と化すとこだった…まさか直球でツッコんでくるとはね…恐るべしピュアヤンキー…」

「タマちゃんしっかり!」

「…だった…そうだった…厳密に言えば俺はハルヒのお父さんじゃないんだ…」

環は虚ろな目をして呟く。

「「厳密に言わなくてもそうじゃん」」

「何を今更」

整理が必要だ、と環は口に出しながら確認していく。

「もしも…仮に仮に俺がハルヒのお父さんじゃないと仮定するならば…ハルヒの事をこんなに可愛く愛おしいと思う気持ちは何なのだろう…」

その言葉に皆は固まってしまった。

「他のヤツと一緒にいるのが心配でたまらないのは何故なんだ?お父さんでないならあの二人を邪魔する権利などないはず…ハルヒの成長を黙って見守るのが父の愛というもので…」

「あのう…今まで散々お嫁さん妄想とかしてたのは一体…」

「お…お父さんなら他のやつの嫁にやるよりはと思うんじゃないのか…?」

「ハルヒのキス止めたりとか…」

「む…娘のかわいい唇を守ってはイカンのか…?」

「殿…あのさ…今のままの僕らを崩したくないって思ったんじゃないの…?家族設定ってその為の予防線じゃ…」

馨の考えはそれだった。家族とは予防線。誰かが出てしまう事の無いように作ったもの。

「馨?」

「意味がわからん!」

環の言葉に馨は思った。

――アホだ!この人無自覚だ…!いや、アホなのは知っていた。でもここまでアホだとは思ってもみなかった…!竜胆は驚きのあまり言葉を失った。


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