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「それにホラ、環先輩にもらった“いい子いい子してあげる券”と“お姫様だっこ券”と…」
「そ…それはやさしーかもしんねーけど、どっちかっつーと…困んねーか…?」
それを聞いてそっかとハルヒは困るよねぇ、よかったと小さく笑った。
――かわいい!そしてヒデエ!
ハルヒは桜蘭で価値観の合う友人をようやく見つけ喜んでいる様だ。
「どーすんだよ、あんなカワイイ顔さらしちゃって!あの天然コマシ娘がッ!」
「ヒカちゃん達にしてはジャマしに飛んで行かないの珍しいねえ」
「そうね。いつもなら真っ先に邪魔しに行くのに、見てるだけなんて」
「僕らは軽井沢での失敗もあるし、うかつにハルヒ怒らせらんないんだってば!」
「“僕ら”じゃないよ、光でしょ!」
それでも気を遣う事を覚えたのね…お姉ちゃん嬉しい。
「「竜胆ねぇが一番自然に邪魔できるから、邪魔してきてヨ!」」
「嫌よ。笠野田君に何の罪があるって言うのよ。誰も困ってないわ」
売り上げ上がって万々歳じゃない。竜胆は両手を軽く上げた。ならば、と光と馨は視線を移す。
「殿!いつまで抜け殻ってんのさ!こーゆー時こそキングの出番じゃんか!」
「「行ってこい!」」
光と馨に背を押されて抜け殻の環はハルヒと笠野田の前まで歩いた。無意識に二人の間を遮る様に座った環にハルヒはインスタントコーヒーについていた知恵の輪を環に渡す。そしてかちゃかちゃした後、
「早いですね、そしたらまたそれ繋げてみて下さい」
「…ハルヒちゃん、環の扱い上手過ぎるでしょう…」
知恵の輪に夢中になる環に苛立ちを隠せない光と馨は環の携帯に電話をかけた。
「いーい?よく考えてみてよ?」
「このまま放っといてボサノバっちにハルヒをかっさらわれでもしてみ?」
「「ハルヒの行く末は“姐さん”なんだよ!?」」
何とも先読みし過ぎた妄想だが、その可能性が出てしまうのは確かだった。そしてそれを聞いた途端環はフルフルと震え我に返る。
「だ…駄目だ…それはそれで美しいかもしれんがおとーさんは反対だ!」
環はめでたく復活したのです。でも、言っている事はやっぱり自分本位。覚醒した環は笠野田の肩を掴み、どうしてここにいるのか、缶蹴りはどうした?と詰め寄る。
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