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「「あー!竜胆ねぇ!」」

そんな大きな声が聞こえて竜胆は振り返った。そこに居たのは光馨だけではなくハルヒと笠野田まで居た。

「昨日の今日でよく来るネ!?」

「ちょっと大丈夫なワケ!?」

それは褒めているわけではないな、よく来たと言った光を睨み付けた。

「竜胆…?」

そう首を傾げているのは笠野田だ。当然“竜胆”と呼ばれる理由等知らないし、そもそもよく分かっていないのだろう。名前は牡丹のはずがよく竜胆と呼ばれている。

「コラ、牡丹だ牡丹。芸名で呼ばないで」

「あの、本当に大丈夫ですか?少なからず自分のせいかなと思って…」

「い、いや。俺のせいだろ…!」

その言葉を聞いて竜胆は優しく微笑んだ。

「もう一年生達は皆心配性だなぁ。大丈夫。本当にペンキの臭いに酔っただけだからさ。もう大丈夫。心配かけてゴメンネ」

なら良かったと微笑む二人と、残った彼等は少し不服そうだった。どうしてかバレちゃうのよね、竜胆は小さく溜め息を吐いた。

「俺は体が弱いからね〜こういうのはたまにあるんだ。うッス!」

また間違った挨拶を…そう思っている間に竜胆は背中を見せて歩いて行った。

「ねぇ…光馨は先輩と昔から一緒に居たんでしょ?本当に体弱いの?」

「…昔“から”ではない」

「正しく言うなら昔“は”だネ」

あ、そう言えば海外に居た、と言っていた事をハルヒは思い出した。でもどうして海外に行ったのだろうという素朴な疑問。だって兄の牡丹さんはずっと桜蘭に居たわけだし。

「…確かに小さい頃は体弱かったと思う。よく咳したりはしてたけど…」

「なんせ僕らも子供の頃だったから深く考えてなかったワケ」

「「僕らはさ、」」

「ん?」

「「竜胆ねぇが突然海外に行った理由はそこにあると思ってるんだよネ」」

光と馨の言葉にハルヒはただ首を傾げるだけだった。


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